Poesie

2016/08/31 - 窓辺のパキラ


随分、大きくなった。

わたしがここに引っ越してきたときに、
あなたと買いに行ったの、覚えてる?
隣であなた笑ってた。

この子が枯れてしまう頃。
きっとわたしの想いも枯れるだろう。
早く枯れて欲しいはずなのに。
毎朝欠かさず水をやり、
休日には手入れだってする。

まるで、枯れないで、と願うかのように。





2016/08/31 - 線路伝い 届かぬ想い


行きつけのイタリアンレストラン
窓辺から見える新幹線
20時4分に東京駅を出発した新幹線を見送るわたし
本当はこの新幹線に乗って
あなたを追いかけたかった

北の大地へとつながっている線路を伝って
わたしの想いもあなたに伝えたかった
木枯らしの季節特有のイルミネーション
わたしの足元を煩く照らす

あなたに借りた本を読んでいると
なんとなく時計の針が早く進んだ気がした
ふと気が付くと
あの新幹線に乗っていれば
今頃あなたの元に着いている時間になっていた

線路伝いを煌々と照らす灯見つめながら
誰にも聞いてもらえない溜息ひとつついた

テーブルに目を落とすと
紅茶のために置かれた砂時計の砂が落ちきっていて
メイプルシフォンケーキに添えてあるクリームも
小さな後悔をしているわたしのようにくたびれていた





2016/08/31 - 七の月


催涙雨を降らすのは 織姫でも彦星でもなくて
あなたであって欲しいのに それも違うの
わたしだけ わたしだけなの

色とりどりの願いと緑は
鈍色(にびいろ)の夜空に揺らめき
波のような音をたてる
その中にあるわたしの願いは
いつあなたに届くの
わからない わからないの

見えなくなってしまった天の川は 今どこにあるの
雲の上 それともあなたの心の中
どうすれば それは見えるの

催涙雨で濡れてしまった頬に 涙も伝う
何もかも あなたには知られないまま

七の月が 過ぎてしまう頃
きっとあなたは わたしをもう思い出さない
それでもわたしは あなたのことを忘れない
それでもわたしは あなたのことを待っている
あなたがそこにいるのかどうかも 知る術(すべ)をなくしてしまったけれど





2016/08/31 - 近距離恋愛≒遠距離恋愛


いつのまにか降っていた雨
濡れた地面が街灯で反射する

いつのまにか好きになっていた
濡れた頬は溢れる涙のせい

気づいた頃にはもう後ろ姿
追いかけることすらできなくて
勿論あなたへの想いも伝えられないまま

何気無い日常に 鮮やかに色付くように
わたしの想いも溢れていく
あの頃を思い出すようで

だけど、言えない
今は、言えない
ずっと、言えない





2016/08/31 - 音のない雨


乱反射した交差点
途切れることのない光の流れ見つめて
立ち止まる色とりどりの花たち
それは寄り添うものもあれば
颯爽と離れてゆくものもある

あなたと手を繋いで歩いたあの道
どうしてそんなに早く行ってしまうの
永遠と続いて欲しくて
でも続くわけはなくて
せめてゆっくり歩いて お願い
幻のように思えてしまうから

涙で滲んで帰り道が見えない
見えないんじゃない
わからないの
帰り方も あなたの本当の想いも


お気に入りの喫茶店で
お気に入りの曲を聴きながら
お気に入りの紅茶を飲む
だけど心が満たされないのは
あなたが居ないから
ここに 居ないから

この紅茶がぬるくなってしまう前に
あなたへ贈る言葉 指で紡ぐ
音のない雨が静かに帰ってく前に
わたしも帰らなきゃいけない
あの道を通って





2016/08/31 - 雨なのか、涙なのか、


どうして。
忘れたいはずなのに、忘れられない。


あなたの隣にいることが
こんなにも嬉しくて
幸せに感じてしまうなんて。

あなたにとってのわたしはどういう存在?
そう問い質したかった。

あなたのことが、好きだった。
そう告白したかった。

だけど、結局。
何も言えないまま、
あなたの背中が遠ざかってゆくのを見ているだけ。
ぶつけられるところだって、あるわけがない。


このままどこかに行ってしまおうか。
気付かれないように、眠って。

帰りたくない、って腕を掴んでしまおうか。
困った顔するかしら。
それとも、わたしをどこか遠くに連れていってくれる?

それでも、結局。
何も行動に移せないのは、
昔から変わらないわたしたち。
ドラマチックな展開も、
わたしたちには起こるはずもなく。


あなたが乗った電車が見えなくなるまで
ホームの端で見送ったことも。
耳に残る低い声も。
右肩の熱も。
雨に濡れながら歩いた帰り道も。
思い出せば思い出すほど。

深く吐かれた息は、溜め息というものなのか。
それすらもわからなくなるほど。

膝を抱えて。
思い出す。
昔のこと。今日のこと。あなたのこと。
気付いたら、涙で溢れてた。


ねぇ、どうして。
忘れてしまいそうなのに、忘れられない。





2016/08/31 - 右肩の重み


ねぇ、それはわざとやっているの?
そんなふうに思わせぶりなこと、しないでよ
好きだなんて、思ってないくせに

わたしの右側に感じる熱
右肩にかかった重み
ずっと隣にいた
でも、もういない

ねぇ、どうしていつもそうやって勘違いさせるようなこと、するの?
わたしはちゃんと、覚えているよ
わたしはあなたのこと、好きになりそうになった
だからあのとき、あなたから目を逸らした





2016/08/31 - フォンティーヌ


目が合った
心臓が止まるかと思った
だけど逸らさない

今日会ったあなたは一昨日と何も変わらなくて
特に意識しているようでもなくて
胸が締め付けられるような想いがした

どうしちゃったのかな
前はもっとなりふり構わずいられたのに

家で過ごす穏やかな時間
あのときあなたと一緒に買った数々の紅茶
そのうちのひとつのフォンティーヌ
その香りに包まれながら
あたしはあなたを思い出す

今日も目が合った
心臓が止まるかと思った
だけど逸らさない
あなたに気付かれないように
あたしもあなたを見つめた





2016/08/31 - 都会


どこに行っても人だらけ
電車だって4分おきにやって来る
乗り込めばいつだって満員電車
狭い窓から見えるのは
コンクリートのビルと灰色の空
ぼんやりとそれを眺め
考え事をする間も無くすぐ駅に着き
降りる時にぶつかってきても謝りもしない
息苦しさを感じる駅を出ても
余裕のない足取りばかり
もううんざりだ





2016/08/31 - ゆめうつつ、ホシナミダ。


「あいつに、悪いから…」
そう言って、あなたは口を閉ざし、
本当のことを教えてくれなかった。

わたしはまだ、あなたのことをすべて忘れたわけじゃないんだよ。
だから、その言葉の先を、聞きたい。

夢の中のわたしに恋をした。
それが本当ならば。
現実のわたしには、恋するの?
夜も眠れないよ。

憧れと、尊敬と、好き。
あなたは全部、わたしに教えてくれた。

遠くで輝く光。
無数に星。
それらと、わたしの涙が零れ落ちないように。

いつも、いつも。






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2010.11.29





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