04


「危なかった…」
アルバと別れた俺は思わずそうこぼした。
流石に『そのうち異世界に帰るから一緒に政治はできないよ』だなんて言えない。

…しかしそれにしても、平民出身ですらこの扱いなのか。2ヶ月間とはいえ奴隷やってましたなんて言おうものなら何を言われるやら。

これからの生活にちょっと頭を痛めながら、俺は寮の管理事務所にて部屋の鍵を受け取った。

部屋の鍵は手のひら大のロザリオのネックレスの形をしている。細かい装飾が彫刻で施され、なかなか豪華ないでたちだ。
ロザリオのの中央部に淡い光を湛えた透明な水晶がはめ込まれており、これを扉横のセンサー部分にかざすことにより扉が開く。
これも魔化製品にあたる。
ルームキーのほか、買い物や出席確認にも使えるというのだから結構ハイテクだ。

俺は受け取ったロザリオを首にかけ、自分の部屋である708号室へと向かう。
途中何人かの生徒とすれ違ったが、皆俺を見るなり一様にこそこそと噂話を始め、さり気なく道を開けてくる。
……落ち着かないが慣れるほかないらしい。

そういえばアルバとの会話でうっかり聞き流してしまったが、編入試験で全教科ほぼ満点とか言っていたな。
あの試験、そんなに難しいとは思わなかったけれどそんなに凄いものなのだろうか。皆試験の内容を知らないから買い被っているだけなのでは?

そんなことを悶々と考えながら歩を進めれば、あっという間に自室の前だ。
寮の部屋は原則2人部屋。
今日から特に何事もなければ3年間、この部屋で過ごすこととなる。
ルームメイトと気が合うといいんだが。

ロザリオをドア横のセンサー部分にかざせば、かちり、鍵の開く音がした。


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