04
俺が皆の前で啖呵をきった後の午前中は、委員・係の決定や今年のカリキュラムの説明等で時間が過ぎた。俺は人気のない委員の中から美化委員を選んだ。
そして昼休み。
「お、おお、お前なあ……」
「ん?」
俺の前には頬をひきつらせたアルバがいる訳である。
「ん?……じゃねえが。いきなりかっ飛ばしすぎだろうが」
アルバは眉間を指で押さえ、呆れた様子で言った。
「そうかな?こういうのって、後になればなるほど言い出しにくいもんだろ」
「そうだけどさあ…十中八九、もう噂になってるぞ?天才編入生は変人だってよ」
「俺のスタンスが広まるなら早いほうがいいだろ。いいじゃないか、誤解がなくて。」
きょとんと答えれば、アルバは諦めたように空を仰いで笑った。
「……っとにお前は……しょうがねえやつだな、全く!はは」
「お褒めいただき、光栄だよ」
「褒めてねえよ」
そんな気の抜けた会話をしていると、アルバに呼び出しがかかった。
「あ、悪い。先生に呼ばれてるんでちょっと行ってくる。くれぐれも無茶すんなよ?」
アルバは軽い調子で謝ると教室を出ていった。……それにしても、まるで保護者みたいな注意の仕方だったな。
アルバがいなくなると俺はすっかり暇を持て余してしまった。まだクラスメイトは俺を遠巻きにするし……あのような啖呵をきってしまった以上、無理に俺との付き合いを強いるわけにもいかない。
そうだ、学舎内を探検してみよう。
休み時間はまだあるし、あまり遠くに行かなければ迷子になることもあるまい。
そう思い立ち、俺は教室を出てぶらりと歩き始めた。
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