04
きゃー!!
軍科幹部の2人が現れると、生徒たちが黄色い声を上げる。うんうん、確かにイケメンだ。イケメンだけども。……俺は女子高に編入したのかと錯覚するようなトーンの高さだ。どこから出てるんだその声。
軍科会長と思われる生徒はネイビーブルーのタイ、すなわち高等部3年。副会長と思われる生徒はモスグリーンのタイ、2年なのだろう。
会長と思われる生徒が歓声を片手を上げて制する。慣れているんだなあ…
彼はびしっと直立不動の姿勢を取り、俺達に向かって敬礼してから口を開いた。
「軍科会長、高等部3年イザーク=ワイズナーだ。今日はこの軍事分野訓練の視察に来た。緊張するなと言うのは無理な話かもしれないが、いつも通りの実力を発揮して貰いたい。見込みのある者には後ほど声をかける。今日はよろしく。」
……先輩、というよりは上官、といった雰囲気だ。
身長は180はゆうに越えているだろう。鍛えていることが窺えるがっしりとした体格。
深い緑色の髪を襟足だけ伸ばしている。涼やかな目元に、金色の猛禽類のような瞳がこちらを捉える。
なるほどファンが多いのも理解の範疇だ。……ここが女子高ならな!
軍科会長のイザークさんは自己紹介を終えて一歩下がる。それを見計らったように、隣の副会長らしき生徒が一歩前に進み出た。
会長に倣って敬礼をするが、こちらは幾分か緩さが感じられる。尤も、気配に隙があるかというと否。性格の差なのだろう。
「軍科副会長、高等部2年のエミル=スレイですー。ま、あまり力入りすぎないよーに。たまたま今日だけうまくいきました!みたいな子は要らないしね。いつも通りでどーぞ。よろしく!」
……ん?スレイ?
リールと苗字が同じだ。何か関係があるのだろうか?
興味を引かれた俺は改めて副会長のエミルさんを観察する。
身長は180cmいくかいかないか、といったところか。リールと同じ、アッシュのかかったような茶髪のストレート。リールと異なるのは前髪の長さだ。目にかからないすっきりとした髪型。
瞳はヘーゼル。口元は笑みを絶やさず、八重歯が印象的だが……獲物を狙う爬虫類のような、どこか冷たい印象を受けた。
……後でリールに聞いてみようか。
そう思って視線を外せば、隣で難しい顔をしているアルバが目に入った。
「……?」
答えの出ない疑問を抱く俺をよそに軍科幹部2人の自己紹介は終わり、訓練の時間へと入っていく。
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