09


(side アルバ)

……致死ダメージに至らなかったのかクレールは仮想空間から消滅せず、かといって動くこともできずに倒れている。
訓練用ナイフを手にクレールを見下ろすノエの表情は、普段とはかけ離れた容赦のないもの。

「な、なに?何が起きたの?あの爆発をノエ耐えたの?」
シュカが状況が飲み込めない様子で疑問を口にした。俺が答えようと口を開きかけた時、隣にやって来ていた別の人間が代わりに答えを言った。

「あれね〜、幻術だよ」

軍科副会長、エミル=スレイ。その隣に無言で立つ軍科会長、イザーク=ワイズナー。
副会長はヘーゼルの瞳を光らせて教えてくれる。

「多分最初に間合いを取られた時点で、大魔法が来ることを予測してたんだろうねえ。炎の槍攻撃から逃げ回ってる間に準備してたんだよ、『クレールくんに真っ直ぐ向かっていくノエくんの幻影』を。幻影に向かって大魔法をぶちかましている間、本人は上空に逃げて待機していた、と」

エミル副会長はやるねー、と言いながら頷いている。それに俺が付け足した。

「炎の槍での消耗からして、大魔法の後は暫く動けなくなるのが目に見えてたからな。あの爆発さえやり過ごせば、ってとこだったんだろう」

シュカとサーシャははぁっと嘆息している。




クレールを見下ろすノエは子供に言いふくめるように話しかけた。

「確かにあの魔法の威力は凄かったけど、あれ疲れるだろ?仮にあの一撃で俺を倒せてたとしても、直後に別の敵が出てきたらどうするんだ?死ぬよ?」

「……う、うう、」
クレールは倒れたまま、悔しそうに呻く。
ノエはしゃがみ込み、クレールと目線を合わせて笑った。

「体力は温存しなきゃあ。敵は回復を待ってくれないからね」

そんなノエに歩み寄る者がいた。
イザーク会長であった。

(side アルバ 終)


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