そして学園へ。 01


そんなこんなでノエ=エトワールとなった俺は、2年半をフルに使ってまた血を吐く思いで勉強した。
尤も、奴隷時代よりはだいぶましだったが。

学業的な部分はあまり苦労しなかった。文字と単位表記にさえ慣れてしまえば、あとは元の世界とやることは変わらなかったからだ。
加えて言うなら学問分野は多少元の世界より遅れているようで、元の学業成績がかなり良好だったこともあって正直無双状態に近かった。
自力で独自定理を導いた!とか言われた時は目を白黒させたものだ。

魔法分野は非常に興味深かった。
やることなすこと、見るもの聞くものすべてが新鮮で、久しぶりに純粋に学問を楽しんだといえるだろう。

そして、戦闘分野。
いずれ魔物と戦わなければならない貴族としては避けて通れない道だった。
スポーツは苦手、とまでは言わないが得意でもなかった俺は多少の不安を感じていたが……結論、それは杞憂だった。
2ヶ月の奴隷生活で、自分で思った以上に体力がついていたようだ。戦闘分野の家庭教師に、センスの塊だと言わしめるほどだった。




血のにじむ努力の末に、俺は3月に15歳になった。
159cmだった身長はタケノコみたいに伸びて174cmに、学業は向こうの世界でいう高校3年の範囲までは済ませた。
魔法はもう少し伸びしろがあるが、これから差し当たり3年通う学園には十分だろう。

この世界の貴族は、いずれ魔物と戦う義務が課せられる。ゆえに、そのための力を養成する学園に入学し、切磋琢磨して技を磨くのだそうな。
普通は7歳で入学、それから18歳まで全寮制の学園に缶詰めだ。

俺は事情が事情なので特例で15歳、高等部1
年からの編入を許されたというわけだ。
便宜上必要だという試験を受け(結構簡単だった)、無事入学を許可された。そして――

「――ここか」

俺はこれから3年間を過ごす学校、『王立デュノア学院』男子高等部の前に立っていた。


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