02


刑務所もかくや、というほどに高い校門。
流石国内の貴族の子息ほぼ全てが通っているだけのことはある、といったところか。

12年を日本の平民として、2ヶ月をこの国の奴隷として過ごした俺にとっては無駄遣い極まりないと言わざるを得ないが、仕方ない。
明日からこの学園の生徒となるのだから。
新品の軍服のような形の制服に袖を通してしまった俺がどうこう言える話でもない。

ぴんぽん、呼び鈴を押す。

この世界の家電はそれなりに発達している。
向こうの世界では電気が機械を動かしているのに対し、こちらでは製作者により込められた魔力が機械を動かすのだ。
電化製品ならぬ、魔化製品である。

のんびりと応答を待つこと5分。
本当に通じているのか不安になる頃、ようやくインターフォンから応答があった。

『こちら、王立デュノア学院です。ご用件は?』
「明日からこの学園に編入が決まっている、ノエ=エトワールと申しますが」
『ああ、聞いていますよ!ようこそ。案内を寄越しますので、開門の後しばらくお待ちください』
「はい」

特筆することのないやりとりの後、校門がゆっくりと開き始めた。
……本当に刑務所みたいだ。
そんなことを考えながらぼんやり待っていると、

「お待たせして申し訳ございません、ノエ=エトワール様」
低く響く甘い声がかけられた。

目線を上げればそこには声の主が立っていた。


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