04


まずは索敵と様子見をしよう。
ブレスレットの鬼感知機能を捨てた以上、自分の勘とセンスが頼りだ。

『強化せよ』
『闇に紛れよ』

省エネ呪文で脚力を強化し、近場の木に登って物見を行う。そして、迷彩魔法により見つかりにくい気を纏った。




説明の時、サリバン先生はあたかも『人払いの魔術』を推奨しているかのような物言いをしていたが、……俺が思うに、あれはひっかけだ。

人払いの魔術はいくつかの難点がある。
第一に、鬼以外も遠ざけてしまうこと。相方探しがおぼつかなくなってしまう。

第二に、意外と魔力消費が大きいこと。このゲームは5時間という持久戦だ。消費の大きな魔術をぽんぽん使うとバテてしまう。

第三に、意外とザルなこと。使用者よりも魔力の強い人間などが無自覚に破ってしまうことが多いのだ。いつかの、サーシャのいじめ現場に俺が乱入してしまったあの時もそれである。

……というように、今回のゲームにおいてはデメリットが多い。よって俺は迷彩魔法や気配遮断などの隠密系の省エネ魔法を駆使して逃げる方針を固めた。




さて、物見を行ったところ。
技科棟周辺から大きなヘリコプターのような飛行物体が飛び立つのを確認。
既にフルスロットルでやってる者がいるのか、時折木が倒れるようなずん、と重い音が聞こえる。
俺の周辺には今のところ鬼らしき者やトラップのような気配はしない、か。

俺はリール作の通信機の石を押さえながら連絡を取る。確かサーシャが技科棟周辺で逃げていたはずだ。

「もしもし。物見を行ったところ、技科棟周辺から大きな飛行物体が飛び立つのを確認した。遠目だったから詳細は分からないが、偵察機……もしくは上空からまとめて捕獲するタイプの罠である可能性がある。注意してくれ」

会話はできないため一方的に通信を切り、気配を殺して木を下りる。
俺は周囲を警戒しながら少しずつ、森の奥へ分け入っていくことにした。


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