08


――AM10:00

学園北部、学生寮近くの森の中。
俺はケットシーを助けて(そして裏切られ)、あまりにも人に会わないので相方を探し求めて数十分かけて学園北部に移動していた。

ケットシーに取られたことで当初の想定よりも魔力を消耗してしまったので、念のために持っておいた飴玉を口の中で転がしながら進む。

道中、サーシャから通信が入った。

『もしもし、サーシャです。報告します、僕は相方と会えました!あと、技科棟から飛ばされたものは、上空から魔法で狙撃してブレスレットを狙いうつ代物みたいだ。目撃したから確かです。みんなも気を付けて!』

つまり、アレに乗っている鬼がいるってことか。しかし独力で空飛ぶ狙撃機を作ったならとんでもない発明家だ。技科というのはリールみたいな人間がたくさんいる所なのだろう。

……俺が行きたいのは技科では、ないかなあ。そんな感想だった。
今までの授業でも技術分野のさわり部分は学習したのだが、やってやれないことはないものの10年20年をかけて極めたい分野ではないかなあと感じるものだった。

そもそも、俺が魔法を学ぶ目的は『元の世界に帰る方法を見つける』ことだ(最近色々なことがあって忘れがちなのはさておく)。

それを考えると、自分で方法を研究できる術科、あるいは機密レベルの魔法を閲覧できる立場に行ける可能性のある政科。
このどちらかなのではないか?

「……だとすると、軍科の推薦も蹴らなきゃならないなあ」

俺はそう独りごちた。

そんな時である。事態が動いたのは。




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