「旅の便利屋、って……」
「そうだねえ、なんて言ったらいいのか……その場その場で困りごとを引き受けて、礼をもらって生活してるようなもんだ」
ナフェリアは、いまだ警戒態勢のサヤカたちに「とりあえず街道に出よう」と提案してきた。街道ならそれなりの人通りはあるし、目立ったこともできない。腰に提げていた短剣をいとも簡単にマコトに預けてよこした彼女は、両手を上げたまま先に立って歩いていた。これじゃまるで、マコトたちがナフェリアを脅しているように見えかねない構図である。サヤカは少し気が引けたが、同時に警戒もしていたのでマコトに従った。
サヤカのささやかな問いに、ナフェリアはにこにこと答えた。
やがて街道に出ると、もうすっかり夕暮れだった。真っ赤に染まる空が三人を照らす。馬に乗った旅人が怪訝そうな顔で三人の前を通り抜けていく。
「ここらでいいかい。別にあんたたちに何かしようってわけじゃないからさ」
「……わかってますよ、ここまでされて疑うのは筋じゃありません」
マコトが鞘ごと投げ返した短剣を、彼女はなんてことないかのようにひょいと受け取った。慣れた手つきで腰のベルトに戻すと、ありがとうと言って笑って見せる。
「森の中で何人かすれ違った人はいましたが、ご期待に沿えるかどうかは」
「あー、堅苦しい喋り方はなしでいこうじゃないか。あたし、教養がなくてね。難しい言葉遣いでしゃべるのが得意じゃないんだ」
「分かった。いいよね、マコト」
「……うん。了解」
「マコトっていうのかい。そっちのお嬢さんは?」
「私はサヤカっていいます。えっと、ナフェリアさん? で、いいのかな」
「愛称でね、ナツって呼ばれてる。まあナフェリアでもなんでも、好きに呼んでくれればいいさ」
「じゃあ、ナツさん。誰を探してるの?」
ナフェリアは、サヤカたちとたいして変わらない齢に見えた。それにしては二人よりやけに貫禄があるが、実際はどうなのだろうか。サヤカとマコトの身長のちょうど真ん中くらいの背丈のナフェリアは、手のひらの途中からはじまる不思議な形の手袋をしていた。冬にしてはやけに短いズボンと、太もものあたりまである柔らかそうな素材でできたブーツ。胸下あたりで切れている意匠の駱駝色のシャツと、その下に着ている黒い服の対比が激しい。
穏やかでいて苛烈な裏を含んでいる、ナフェリアはそんな笑みを零した。
「アルトンにある教会と一緒に建ってる孤児院からの頼み事でね」
────探しているのは人攫いの悪党どもさ。