大体の予想はついてるんだけどね、と歩きながらナフェリアは言った。暗くなってきたから、そもそものマコトとサヤカの行き先であるアルトンまで一緒に行こうということになったのである。
つい先日、孤児院に住む数人の子供たちが一気に攫われたということと、あたりで人攫いで有名な賊の目撃情報があることを、ナフェリアは話した。もちろん村に配備されている国の兵らも子供たちの捜索にはあたっているけれど、ほかの任務があることもあってあまり進んでいないらしい。孤児院は、その騒動に気が付いたナフェリアの手伝いの申し出に、藁にも縋る思いで乗ったようで、こうして動いているようだった。
「あたし、教養はないけどこういうことは得意なんだ。人探しはよく頼まれる仕事でね」
塀に囲まれた門は陽が落ちたためか、すでに閉まっていた。ナフェリアがひとこと門衛に声をかけると、快く応じられて門が開く。ぺこりと礼をして通ろうとしたサヤカ達に対し、兵士はナフェリアに声をかけた。ふたりも足を止める。
「ナフェリアどの、捜索のほうは」
「尾けていたやつがいたんだけどね、見失っちまって。とりあえず一旦引き上げてきたんだ。そっちは?」
「東の平原のほうは収穫なしのようです」
「そうかい。……明日から、あたしはやっぱり西南の森に行くよ」
「わかりました。だれか手伝いに出しますか?」
「いや、いい。本命はそっちの兵だし、あたしはあくまで手伝いなんだからひとりで動くよ。邪魔になっては本末転倒だからね」
「わかりました」
手を振ってサヤカ達に追い付いてきたナフェリアに、マコトが言った。
「……いや、ごめんなさい。まだちょっと疑ってたんだ。本当なんだね」
「ああ、気にしないでくれ。あの声のかけ方はあたしも、というかあたしが悪かった。このご時世、あんなに怪しいやつに声をかけられて快く応じるほうが怪しいよ。あたしもあそこですんなり信じられても驚いた」
ナフェリアの軽口にくすりと笑ったサヤカ。ナフェリアは気を悪くした様子もなくサヤカの肩を叩いた。
塀の外からはわからなかったが、町はそれなりに賑わっている様子だった。酒場が近くにあるらしく、喧騒が漏れ聞こえてくる。民家がぽつぽつと並び、向こうには広場と思わしきひらけた空間があった。石の燭台がところどころに設置されていて、火がついていたりいなかったりしている。
「とりあえず、宿に行くとしようか。夕食はそのあとだね」
「了解。ナフェリアさん、宿屋まで案内してもらってもいいかな」
「……やっぱりなんだかくすぐったいねえ。ナツって呼び捨てにしてもらって構わないからね、マコトもサヤカも」
少し照れたような顔でそう言われ、サヤカとマコトは笑って頷いた。