夢と記憶が入り交じる中に
夢を見た。私が一度経験したのと同じ夢だ。なるべく、もう見たくもなかった。夢か、それとも走馬灯なのか、そんなものはわからないし、どうでも良かった。
親が言うには「失敗作」。何もできない、意思も弱い。弱いだけで、私の中には確かにあった。失敗作でも、失敗作なりにもがいて、努力はしてきた。自分なりに勉強もしたし、学校にも休まずに行って、でも友達はなかなかできないのは、私の性格のせいだろうか。
夢だから、時の流れが早い。
当たり障りのない小学生活、中学生活を、もう私なんて見ていない親にも慣れてきた私は、私なりに平穏に過ごした。長い九年間は、私にとっては酷く短かった。だって、毎日が普通でつまらなくて、煩かったから。
高校生になって、身だしなみに気を遣い始めた。他のませた女の子に比べると、少しだけ遅かったかもしれない。高校生にもなると、もうすっかり見放されていた私は、高校側にばれないようにバイトをして、稼いで、そのお金でヘアアイロン、化粧品、その他。色々なものを手に入れた。
頭が悪いと、考えも行動も幼稚だ。
私の何が気に入らなかったのか、クラスの、それどころか学年のカースト上位に属する女の子に目をつけられた。他の人は、見て見ぬふりだ。
『上野さんさあ、バイトしてるんだってね?』
『え、と、そんなわけ……』
『申請してないのにとんだ不良娘ちゃんだね? 先生に言ったらどうなるかな』
何が気に食わなかったのか、今でもよくわからない。私のこの態度も、よく見ればなかなかに腹が立つ。けれど、意味のわからない八つ当たりか何かで、クラスの隅にいるような私に目をつけるいじめっ子も、腹が立つ。
それからは、散々だった。仲が良いふりも、表面上はしていたけれど、雑用に、お金の巻き上げ。お金を出せないときは、物理的に暴力を振るう。周りは皆、私たちが仲良くないことなんて知っていたし、教師だってそうだ。私が目をつけられたのがカースト上位の者だと知った瞬間、今まで少し話す程度だったクラスメイトですら、私を無視した。他人事のようだった。
そこで、やっと信頼できる人を見つけた。隣のクラスの男子だ。学年でも人気のある男子だった。放課後に私を呼び出したかと思えば、いじめられているのを知った彼は私を励ました。私を抱きしめて、背中を撫でて、声をかけた。
『俺は上野さんの味方だから』
ああ、わかってくれる人がいる。それだけで、少しだけ人生が明るくなった。よく考えれば、高校を卒業した後にも、未来が待っている。暗くて先が見えない未来が、ほんの少しだけ明るくなった。
それも、気のせいだったのだ。
低俗な男。結局、あの子たちと同じだ。いつもみたいに放課後に会っていたら、いきなり壁に押さえつけられて、ああ、これは襲われる。これが目的だったんだ、この男は。だから私は、その男を思いきり突き飛ばすと、まるで今までのことなんて綺麗さっぱりなかったかのように、余韻すら残さずにその場から離れた。
運が悪かったのが、その男は私をいじめる子が思いを寄せていた子で、まあ、上手いこと言ったんだろう。一層私への攻撃が強くなった。まあ、結果として襲われていてもそうでなくても、この事実は変わらなかったのかもしれない。
明らかに毎日ボロボロになっていく私を見ても、あちら側の味方をする教師に、家に帰ってこなくなった母親。
もう、疲れていた。とっくに限界が来ていた。バイトも辞めさせられて、身寄りなんてなかった。
「たっか……」
だから私は、この選択をした。