「わ、奇遇だね」
白い雪がこんこんと降るおかげで変装するまでもなくマフラーと帽子で顔を埋めれば誤魔化せるちょうどいい寒い島を、海賊の身の上に生きて久方ぶりに平和にのんびり散策していたところかちあった人に目を丸くする。寒くないのか黒いコートを羽織っているくらいで特にいつもと変わらない姿のローに、見てるこっちが寒気を感じてしまいながらいそいそと近付いてほんの少しマフラーと帽子をずらして挨拶した。眉をほんの少し顰められて周りを窺われたけど、ルフィは平和な街中とは正反対の雪山に行ったからしばらくは振り回されないはずだから安心してほしい。
「寒くないの?」
「北の出身だからな。これくらい平気だ」
出身がどこだろうと寒い時は寒いし、暑い時は暑いものだと思うんだけど、ものすごく堂々と胸を張って言われたからそうなのかあと納得してしまう。
「寒くなくても変装しなくて大丈夫なの?」
「この島ではおれはただの医者だからな」
「優しいね」
「あ? 優しくねェよ、ちょうどこの島で欲しいものがあったから取引しただけだ」
いつものもこもこの帽子をつまんで顔を隠しながら吐き捨てられたけど、どうせ言い訳なのはわかってる。海賊のくせに良いことするなんて反吐が出る、なんて言いながら結局いつもお医者さんのローに頬が緩みながらわかったふりで頷いた。のに、ちょっとニヤついてたのがバレたのか、舌打ちされちゃった。
→「何と取引したの?」
→「はくしゅん!」