童話 人魚姫
少女・・・晃と呼ばれていたか。
晃が俺の手を引いて連れてきたのはサンゴ礁が綺麗なあの時俺が溺れた海底だった。
『えっと、もしかしてあの時の・・・』
ディオ「コクコク」
『人魚だったの?』
ディオ「ブンブン」
『???でも今は人魚だよね?』
ディオ「・・・コク」
『それも人間の力なの?』
ディオ「・・・コク」
『?・・・まぁいっか、僕は晃・ジョースターって言うんだ!
同じ尾ヒレの子って初めてだから嬉しいよ!』
ディオ「コクコク」
『君も?嬉しいの?わぁっよかった!僕なんかと一緒で嫌な気分にさせちゃったかと思った』
ディオ「ブンブンブンブン」
『あはは、そんなに否定しなくてもいいよ!』
ディオ「・・・(良く見れば、体つきも顔も男か・・・だが、やはり綺麗な顔をしている)」
あのあと、晃に連れられて更に奥の海藻が生い茂る海底に連れてこられた。
相手も俺の事を覚えているようで、ここに連れてきたのは人間とばれたらおそらく他の人魚に捕まってしまうのだろう。
どこまでもお人よしだと思う彼は、最初は女かと思っていたのだが、なにも身につけていない上半身とその声はおそらく男のものだ。人魚に性別があるのかはわからないが、他を見る限り男女の差は人間と変わらないらしい。
晃の質問に答えていくうちに俺が声が出せない事が伝わり、海底に文字を書いてみたが、使っている文字が違うのかお互いに理解が出来なかった。
会話が出来ないもどかしさがあるが、晃も気を利かせて「はい」か「いいえ」で答えられる質問や、俺が指を指して首をかしげればいろいろな事を説明してくれた。
洞窟の方向をさせば、あの洞窟は人間が海に捨てたものを物珍しいと飾ってある場所で、さっきは新しく拾ったものを飾っていたらしい。
もう一度首をかしげれば、海底の砂で絵に描いてみせた。
それが櫛だとわかり、似た形のサンゴを使って晃の髪をとかしてあげると、とてもよろこんで、お礼にと僕にこの国を案内してくれた。
そんな無駄な時間と上手く進まない会話にすら、苛立つことはなく、むしろそのゆったりとした晃との空間が、慣れない海底をとても居心地のいいものにしていた。
『凄いな、人間はいろんなものを思いつくんだね。
人魚の皆は人間は怖い生き物だって言うけど、君の周りの人はみんな君みたいに素敵な人ばかりなんだろうね!』
ディオ「ブンブン」
『?・・・君だけが優しいの?』
ディオ「・・・ブンブン」
『やさしいよ、僕にいろいろ教えてくれるし、この闇みたいな黒い髪も、上手く泳げないヒレも綺麗だと言ってくれた。凄く嬉しかった!///』
ディオ「っ///」
人間にも晃のように見た目も魂も綺麗な奴はいない。俺の周りの人間となればなおさらだ。
その俺が優しいとは、おかしなことを言う。
あの薬売りの言う通り、晃は警戒心と言うものが無いのだろう。
この俺が・・・この程度で優しいなんて・・・。
それなら俺は、君をどう表現すればいいのだろうか。
『皆、人間は悪い奴だって言うけど、僕には君は悪い人には見えないなぁ。
人魚はね、皆青い瞳を持っているんだけど、僕、左だけ赤いでしょ?
だから、この目が嫌いだったんだけど・・・君と同じなら好きになれると思うんだ///』
ディオ「(俺も・・・好きだ)」