夕日が沈むころ、浜辺から薬売りが仲間を引き連れて約束の場所に来ていた。
その男達の手には大型の魚を取るための銛や、獣に使われるであろう鋭いとげがついた鉄の網、剣や斧が握られていた。


ワンチェン「はやかたね、それで、人魚はいたアルか?」

ディオ「あぁ、海底に王国を築き、そこにたくさんいた」

ワンチェン「なんと!一匹じゃなかったアルか!ならば海底に探索隊を出して全員捕まえるね!
そうすればこの国の人間皆不老不死!王子も不老不死になれるねっ!!」

ディオ「あいにくだが、そこをお前らに教えるつもりは毛頭ない」

「何っ」
「こいつ、一人占めする気かっ」

ディオ「俺は不老不死が手に入る肉なんぞには興味がなくてな。なにせ、俺はもう不老不死だ」

「な、なんだとっぐあぁ」
「ぎゃああああッ!!」


手始めに左右にいる男の首に指を突き刺し、血を全て吸い取る。
見る見るうちに干からびて、手に持っていた斧と槍が音を立てて落ちていく様を目撃した男どもは恐怖に顔をゆがめ、俺に銃を向け発砲した。
が、そんなものを頭にくらおうが平然と歩みよれば、腰を抜かしたようにその場に座り込んだ。


ワンチェン「お、おまえ、吸血鬼っ!!」
「こいつ自身が既に不老不死!?じゃ、じゃあなぜ人魚に会いに!?」

ディオ「言っただろう?あの日俺を助けた者を、妃にすると!」

「ぐっあぁああっ」
ワンチェン「ふぎゃああああああっ」


その場にいる人間の血を全て吸い取ったあと、薬売りの荷物を漁るが、あの薬は見付からなかった。


ディオ「・・・」


血ぬられた両手を見る。
同じ人外の種族だとしても人魚と吸血鬼じゃあ、住む世界が違いすぎる。
いくら不老不死でも、海の中では息が出来ずに死んでしまうだろう。
だが、俺はあの世界に憧れ、そのまま俺は海へと足を進めた。
太陽のような光に包まれていながらも体が消えず、初めて自分を愛してくれた存在がいる世界。

肺の中の空気が無くなっていく感覚、沈んでいるのか浮いているのかわからない海の中を、気泡が包み込む。

この泡でもいい

泡でもいいから

初めて愛しいと思える存在がいるあの世界に・・・生まれたかった。

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