花京院「それで、国は戦争が起こって、今は僕と君の二人だ・・・け・・・。
・・・。晃、大丈夫かい?」

『う・・・ん、正直ちょっときついかも・・・』

花京院「そう・・・だよね、すまない、僕が無遠慮に」

『ううん!僕が聞かせてほしいって言ったんだし!
それに僕は花京院がこうしていてくれただけでとても嬉しいからっ!!』

花京院「っ///」

『えっと、何年も前に国が滅んだのはわかったけど、その間この城には誰も来なかったのかい?』

花京院「・・・昔はね、でも城には茨が生い茂っていて、不当な侵入者は全て排除される。
だから、もう何年も誰も来ていないな・・・もう忘れてしまったけど」

『・・・。誰も・・・か』

花京院「でもこの城に入って来れる人は一人だけいるはずなんだ。君を救い出してくれる人が・・・。
だから晃、それまで僕と一緒に暮らしていよう。君が僕を守るから。
幸い城の中に井戸も畑もあるし、食料だって蓄えも十分だし二人分なら畑や牧場でなんとか僕なら調達できる。
でも茨で君が怪我をしてしまってはいけないから、くれぐれも外に出てはダメだよ?」

『うん、わかった!よろしくね花京院!』


王子さまは・・・晃はよく歩きまわってはお腹が減ったと料理を作る。
綺麗にするためだけじゃなくゆっくりとお風呂にも入る。
僕の話に相槌をして、僕に楽しげな声を聞かせてくれる。


『ねぇ花京院、窓から外を見るのも・・・だめ?』

花京院「かっ///(かわいっ)だ、ダメだ!!そとに何が待ち構えているかわからないし、開けていいのはこの天窓だけ!
そもそも、他の窓は開けられなかっただろう?」

『うん・・・あっ;』

花京院「やはり開けようとしたんだな?今日のおやつはどうしようかなぁ」

『ご、ごめん!勝手に開けないから!あけないからああああ!!!』

花京院「しかたないな、今回だけはザッハトルテ没収は許してやろう」

『ありがとうございます花京院さまぁあああ!!』


朝起きれば目をこすりながらおはようと君の方から言ってくれて、僕はその手を赤くなるからと優しく止めて、寝癖でボサボサな髪を丁寧に梳かす。
午後にはお城の中を探検して、それでもティータイムになれば僕のつくるデザート目当てにふらふらと帰ってきては一緒に紅茶を飲みながら幸せそうな顔で頬張る。

夜には僕と一緒に一つのベッドに入って、明日はどこを探検しようかと笑い合う。


『花京院は、城の外に出た事はあるの?』

花京院「僕は・・・ないよ。生まれてからずっとこの城の中にいるんだ」

『そっか、外に出たいと思う?』

花京院「僕は王子がいれば
『だから、名前で呼んでって言ってるでしょ』

花京院「はは、ごめん晃、なかなか照れくさくてなれないな///」


僕が名前を呼べば、それだけで満足げに笑ってくれる目の前の君といられるだけで。
僕は今消えてしまってもいいとさえ思った。

だけど、あの茨を乗り越える君の王子様が来るまで、僕が君の傍にいてもいいよね?


花京院「出たい・・・とは思わないかな」

『外は茨が沢山で危ないから?』

花京院「・・・うん」


外の興味を持ち始めた君に、本当はここから出られないなんて言ったら、君はどう思うのだろうか。
眠気が襲ってきているのか、虚ろになった瞳のまま君は純粋な笑顔で、茨がなくなればいいねと言った。
僕は涙が出ないように、布団の中で握っている自分の手を力の限り握りしめた。
静寂の夜の中、茨たちが風もないのにふるえて擦れる音がした。

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