『ディー、エンヤ婆を見なかったか?』

DIO「名前、勝手に出歩くと危険だと言ったじゃないか」


名前が扉を開け、私の部屋に入ってきた。
彼は先程まで私の部屋におり、今しがた朝食と言うには太陽が昇っていない時間に、食事を取りに食堂へと私が送っていた。
書く言う私自身も寝起きの食事をとっていた所だが、いつもは私の方が早く済ませ、食堂に向かって食事を終える名前を待っている。
三日ほど前から、名前から一緒に食事をしようと誘われたので、食堂で食べるか私の部屋に用意させるかどちらがいいだろうかと考えている。
後片付けも楽だし、名前を部屋から出さないようにできるなら、私の部屋がいいだろう。


『ごめんね、でもテレンスに送ってもらったから大丈夫だよ』

DIO「テレンスにか?食事が終わったら迎えに行くと言っただろう」

『ごめんね、でも早くエンヤ婆に見てもらいたくて』

DIO「まったく、名前は熱心だな。すぐ呼ばせよう」


名前はエンヤ婆にスタンドの予言を受けてからは、その矢が動き出すまで毎日彼女の元に訪れていた。
予言は変わるもの。人は変わるもの。
名前は、自身がいつか矢に選ばれる日が来るまで待つとともに、その日に焦がれていた。

私は喉を通った芳しい匂いがついた口元を軽く拭きとると、食事をやめ、手に持っていたソレを床に落とした。


『ディー・・・?』

DIO「?」


そんな俺の姿を見て、兄さんの額にしわがより、顔色が変わった。
あぁ、まずい、これは良くなかったか。兄さんの顔色をうかがい、彼の発する次の言葉を待つ。


『ディー・・・ダメじゃないか』

DIO「名前?」

『[食べ物]は・・・ちゃんと残さず食べろって昔から言ってるだろ?』

DIO「あぁ・・・ごめんよ兄さん」


私は兄さんのいいつけどおり、食べ掛けでまだ息があり微かに痙攣しているそれを口へと運び、カラカラに干からびるまで吸いあげる。
手に持っていた兄さんが「食べ物」と言ったものを再度床に落とせば、ゴドンと頭蓋骨の鈍い音が響く。
兄さんは満足げに俺の頭を背伸びして撫でてくれたので、僕はうれしくて地面に膝をついて兄さんの胸に顔を擦りつけた。
兄さんは『ソースが服に付いちゃうだろ?』と怒りながらも、僕の頭を抱っこしてくれて、優しく髪を指に通しながら何度も何度も撫でてくれた。


『それからディー、ちゃんと兄さんって呼ばなきゃ駄目だろ?
兄さんはディーのお兄ちゃんなんだから。
名前で呼ぶのは、二人で遊ぶ時だけな?』

DIO「あぁ、兄さん・・・特別な夜だけ、名前で呼ぼう」


今夜も兄さんの名前を呼んで、兄さんも私の名前を呼んで、お互いの体の熱を交換しよう。

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