「この小汚い手で触るな!と言ったんだマヌケがッ!!」
と、言っているんでしょう。私は先に父と階段を上っているので定かではありませんが、ジョジョの表情からしてやはり仲良しこよしは難しいようです。
いいんです。男の子は喧嘩をするのもお互いを知る大切な事。
いきすぎたら止めますが、こうした彼の本性を見せられると言う事は、逆に言えば信頼できる要素があると言うことに繋がります。
彼は私には警戒し礼儀正しい少年でいるようなので、少し羨ましくもあります。


ジョナサン「名前兄さん・・・僕、彼と仲良くできるかな・・・」

『ジョナサン・・・。日本のことわざには、「喧嘩するほど仲がいい」という言葉があります』

ジョナサン「?喧嘩するのに仲がいいわけないじゃないか」

『そうですか?少なくとも、彼は私といるよりはジョジョといる方が、より自分を見せているように見えます。
きっと彼も同い年の貴方とどう話せばいいのか解らないんですよ。
急がなくていいんです、ゆっくりとお互いのいい所も悪い所も知って行けばいいんですよ』


とはいっても、当の本人にはかなりこたえたでしょう。今までにいないタイプの子ですからね。
私の部屋に半泣きになりながら来たジョジョを、ベッドの上に座らせて暖かいココアを渡して少し落ち着いてもらいます。


ジョナサン「悪い所も?」

『そうですよ?良い所、悪い所も必ずあります。兄弟なんだから、ケンカもしますし嫌いな所だってあるでしょう。それでいいんですよ。お互いの意見をぶつけ合えるのは、それだけお互いの距離が近いからです。
ジョジョ、無理に相手に合わせようとばかりしなくていいんです』

ジョナサン「うん・・・気持ちが楽になった・・・。ありがとう兄さん」


よかった、彼の顔がいつもの明るい笑顔に戻りました。彼は自分の意見を押し殺し、こうやっていい子過ぎる所がありますからね。
ココアを飲み干し、部屋を出て行く彼を廊下まで見送りに出ると、彼はそっと私に耳打ちしてくれました。


ジョナサン「ずっと考えたけど、僕やっぱりお兄様の嫌な所なんて思いつかないや。それでも仲良し?」

『ふふっ、嬉しいですね、それでも仲良しですよ?仲良しにはいろんな形があるものです。
俺も、ジョジョの困ったいたずら好きもおっちょこちょいな所も全部好きだよ』


照れくさそうに走って行くジョジョに、走ると危ないと注意をした後。私はまた自分の部屋に戻り、ドアを閉めた後も手を書けたまま数秒待機します。
廊下の角でこっそり様子をうかがっていた彼が、私の部屋の前に来て入ろうかどうしようかプライドと戦っている隙にこちらから出迎えられるように。
ドアに耳を当て、足音が止まったことと、その後動かないようすを確認し、ドアを一気に引き開けて驚いた顔の彼ににっこりと微笑み返します。


ディオ「Σっ!!!」

『ようこそディオ君。そろそろ来てくれるんじゃないかと思って心待ちにしてました!』

ディオ「いやっぼくはっ別にっ」

『さあ、君の分のココアもあるんです。・・・それとも甘いものはお嫌いですか?』


そう言うと、しぶしぶと言った感じではありますが大人しく「頂きます」と言って入ってきてくれた彼は、いい子の仮面の下も実はいい子なんじゃないでしょうか。
彼が嫌いそうな身の上話は避けて、欲しいであろう情報、我ながら楽しげな会話ではないですがこの屋敷のしきたりや食事の時間、家庭教師について等説明すると、思った以上に彼は食い付き気味に質問もしてくれるので、こういった意欲的な生徒は大歓迎・・・おっと職業病が。


『教科書はこちらで用意します。また、東館に書庫もありますので、そこを自由に使ってください。
教員は全て曜日ごとにいらっしゃるので、解らない事で聞きたいことなどあったら私に応えられるものよかったらお教えしますよ』

ディオ「・・・名前さんは、人に教えられるほどの知識をお持ちなんですか」

『!!』


おお!!おおおお!!私にも小生意気な事を言って!これは嬉しい!!いや別にマゾヒスティックではないのですが、少し心を開いてくれた気がします。
私の反応が意外だったのか、私が嬉しそうな顔をすると先程にやりと笑ったディオ君はキョトンとしてしまいましたが、やはり彼はこうでなくては。


『じゃあ俺がディオに教えるに値する人物かどうか、君が確かめてくれると言うのでどうかな?』

ディオ「!おもしろい、俺が勝ったらどうするんだ?」

『そうだね、俺にできる事なら何でも言う事を一つきこうかな』

ディオ「その約束、後で後悔するなよ?」

『そのかわり、その時まで私の事はお兄様と呼んでいただけますか?
あ、もちろん二人きりのときは名前兄さんとか、おにいちゃんでもかまわな
ディオ「それじゃ、僕は自分の部屋に戻ります。ココアごちそうさまでした「お兄様」」


ふむ。これで彼の方から私に話しかけてくれるようになるでしょう。
会話が増えれば人は自然とお互いを知って行くものです。


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