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ディオのために1日休みを取って明日増やされた仕事に現実逃避が許されるか考えてる名前・ブランドーです。そんな私の隣には誕生日プレゼントとして買ってあげた紺色のマフラーを両腕で抱き抱えるように大切に持っている弟のディオが隣を並ぶようにして歩いている。私は折角買ったのだから早速巻くように促したが、「勿体無くて今は着けられない」と返された。私としては巻いてくれた方が嬉しいのだけれど、ディオが楽しそうなので問題はない。


暫く街を散策し、遅くなる前に家路に着いた頃通りがかった裏路地にキャスケットを被った少年が道を塞いでいた。彼には申し訳ないが少し道を譲ってもらおうと思い声をかける。


「ねぇそこの君」


「うりぃ?」


小さな声と共にこちらを振り向いた少年は深い海の様な蒼色の目と夕暮れの様に紅い目を少し涙に濡らしながらぱちりと瞬かせた。名前は反対色であるその両眼に見詰められ少しドキリと胸がざわつく。微かに熱が集まった頬を無視するように声をかける。


「な、泣いてるみたいだけど、どうしたんじゃ?」


「兄さん気をつけてください。盗人かもしれません。」


警戒心を露にしたディオが苦言を呈する。確かにこの貧民街には見目の良い子供が人の良心に漬け込み騙し、盗みを働く事などざらに存在しているが、何故だか彼はそんな子供ではない気がして名前は少し困ったような笑みを浮かべた。


「まぁまぁディオ。もしかして、君は迷子かい?


家の場所は解るかの?」


出来るだけ優しく少年に声を掛けるが少年はある一点をジッと見つめたまま反応がない。ジッと少年の視線の先を辿れば、その先にはディオが居た。ディオもその視線に気が付いたのか、少し居心地が悪そうに眉を寄せ口を開く。


「…なんだ人をジロジロ見て…」


「えっ、あっその…」


「?」


「!」


少年の口から漏れた言葉に少し目を見開く。ここは英国、英語が公用語であり、この時代の日本は英国との貿易関係はそこまで発達していないし何より東洋人がここに居るのは珍しい。


その為暫く聞いていなかった日本語が懐かしい。意図して話したことはないが、外国人と日本人では話すために使う筋肉が少々異なっているため発音には不安が残るがダメ元で話してみよう。


「似てる、金髪、僕のお兄ちゃん…」


「僕が君の兄に似てるだと?」


ディオを指さしながら途切れ途切れの単語で話す少年の縋るような視線を感じ、名前は少年に確認を取るためゆっくりと口を動かした。


「君、英語は、解るかの?」


「えっと、少し!」


しっかり聞き取れたのか安心した様に表情を緩ませる少年。その表情に微笑ましさを感じながら、再び口を動かす。


「そうか…なら日本語、は?」


「!」


少し突っ掛るような発音にはなってしまったが、聞き取れたのか、大きな目を更に大きく見開きながら少年は何度も頷いた。


「よかった、久しぶり、だから、ふあん、だったけどわかる?」


「大丈夫です!」


「そうか、ところで、君はどうしてここにいるんじゃ?」


「あっ…」


「?」


今一番知りたかった事を尋ねると少年は少し暗い顔をしてうつ向いてしまった。


「もしかして、迷子かの?それだったら私たちの家に来るといい。」


「えっ?!」


ばっと顔を上げる少年の手とディオの手を掴み名前はそそくさと歩き出す。「に、にいさん!?」


「あ、あのっ!?」


「はっはっはー!」


戸惑いの声を上げる二人に名前は気の抜けた笑い声を上げるだけで、家に着くまで二人の問いに答えることはなかった。



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