部屋に戻った後、執事に手当てを受けた。
正直、俺の体を触られる事は嫌だが、これ以上騒ぎを起こせばジョースター卿に何かを感づかれてしまうかもしれない為、大人しくしていた。
ジョースター卿がきて、処罰を言い渡された時も、如何にも反省していますと言った姿勢で聞いていれば、それ以上言及はしてこなかった。
執事たちも部屋を出て行き、今日の夕食は抜きにされたためそのまま一息ついてベッドへと腰掛ける。
飯抜きや外出禁止だとか、小遣い無しはどうってことは無い。
ただ、ジョジョも含め、晃とも一週間会うなとの御達しだった。


ディオ「晃・・・」


ジョジョを庇うように俺の前に立ちはだかった時、晃に対して初めて怒りがわいてきた。
今までは他の奴らに笑いかける時に苛立ちは感じていたものの、それは晃に対する怒りではなく相手に対してだった。
初めて晃が邪魔だと思った。

だがそれは間違いだった。

もしあの時晃がナイフを隠していなかったら、ジョースター卿に見つかっていて、処罰もこんなにも軽いものではなかったのだろう。
最悪、この屋敷から追い出されることだってあり得たかも知れない。

圧倒的にジョナサンの上に立っていたつもりだったのに、そんな思いはただの幻想にすぎなかったのだ。
母や俺を殴って、満足していた父となんら変わらなかったのだ・・・。


ディオ「くっうっ」


ベッドにあおむけに倒れ、腕で目を押さえながら涙を拭いていると、
トンっと腹に何かが乗った重さで、すぐに上半身を起き上がらせた。
そこには猫の姿になって俺をじっと見つめている晃の姿があった。


ディオ「晃
『ペロッ』


何しに来たのだとか何故猫の姿なのだとか、触れられたくないこのみじめな姿についても胸の内も、
なにより晃を疑ってしまって怪我をさせてしまった事とか、言いたい事も聞かれたくない事も沢山あったのに。
晃が涙を舐めてくれると不思議ともう涙は出なくなってしまった。


ディオ「晃、少し話したい」

『・・・(パァアア)うん』

猫の姿でわざわざ来ると言う事は、晃もジョースター卿に俺達に会うなと言われたのだろう。
晃がそのまま俺の上で黒い光を纏って人間に戻る。耳としっぽは残っているが、勿論なにも身に纏ってはいない姿で。


ディオ「晃・・・」

『うん』


晃を抱きしめれば晃も俺を抱きしめ返してくれた。


ディオ「もう(晃を邪魔だなんて)間違えない」

『うん。心配した』

ディオ「手・・・何か言われたか?」

『仮面で怪我したって言った』

ディオ「(俺が持っていたナイフの事を隠すために)・・・ご
『僕に謝らないっ!』


まるで俺の為に動く事が当然だと言うように、そう言って俺の口に手を当てると、満足したのか晃は猫に戻って、一鳴きして窓から出て行った。

欲しい言葉だけ残して。

周りの人間以上に何を考えているのかわからないのに、何故か俺の味方でいてくれると思える相手は、いつも彼だけだった。


ディオ「・・・ふふっ、そんなところから来ていたのか」


ふと外を見ると、ぐっすりと眠っている阿呆犬の姿が目に入った。

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