でお「晃おいで、渡したいものがあるんだ」

『にゃう?(渡したいもの?)』


ちりん・・・

いつものように膝の上に僕を乗せたでお君は「何か」を首につけてくれた。
そして首元からは可愛らしい鈴の音が・・・。


『みゅ(首輪・・・だと・・・)』

でお「お前のその毛の色に似合うと思ったんだ。
やはり俺の見立てに狂いはないな、とても似合っているよ晃」

『(いやまぁ、猫に鈴の首輪をつけたい気持はわからんでもないし(むしろわかる、よーくわかる)
のら猫と間違えられる事はないだろうし(とはいっても飼い猫だからどうと言う町でもないが))』


嬉しそうに目を細めて僕を撫でるでお君に不満の声は言えまいよ。
まぁそこまで重くもないし、鈴の音も小さめで耳触りでもない。

それにこの町に猫用の首輪なんて売ってるわけもなく、
鈴がさびていない事からどこかで拾ったものでもないのだろう。


『(でお君が・・・僕の為にわざわざ!)』

でお「喜んでもらえたか?」

『にゃう(勿論だとも!)』


何を貰ったとしても嬉しいけど、これはわざわざ探しに行って選んできたものだとわかるととても嬉しい!!


こんな愛すべき弟のために僕は何が出来るのだろう。




時々一人で出掛けた時、でお君は怪我をして帰ってくる。



この猫の体だからこそ出来ることもあるが、



それは何の足しになるだろう。


猫と話せるのも猫だからだが、結局は他人任せに稼いでいるだけで、


人間だったら、もっとでお君にいい暮らしをさせてあげられるのではないか・・・




なんて、本当に猫のような事を考える。




そう、僕は元は人間だ。


これは夢のなかなのだと言い聞かせないと、今のこの現状に慣れてしまって


人間としての自覚が薄れていく気がして



でお「お前はそのまま俺のそばにいてくれるな」

『ミュウ(でお君)』



僕の返事に満足そうに笑ったでお君に、

それでもいっかなんて思いながら、

今日も一緒に眠りについた。




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