酒場での仕事中に同じウエイターの話が耳に入った。
なんでも最近夜中に銃声が響く事と毛並みのいい何匹もの猫たちが町からいなくなっている事についてだそうだ。
別段猫についてはどうでもいいが、毛並みのいい猫と言われて一番に思い出すのは晃の事、いや晃しか思い浮かばないと言ってもいい。

どうやら飼い猫すらも失踪が続いているようで、日中は自由に動いている晃にも伝えた方がいいだろう。
なんなら外出時は俺から離れないように言って、部屋から出ないようにしてもいい。

そんな事を考えながらゴミを出しに裏口の路地へと出ると、突然男が3人角材で殴りかかってきた。

目の前の男の脇をぬけ、空ぶった右の男の頭に蹴りを入れるとすぐに隣の男の巻き腹を左拳で付き、眉間を右腕で殴りついでに目をつぶす。
怯んだもう一人もすねを蹴り、よろめく男に肘を入れると、銃声と共に左腕に激痛が走った。
頭を殴られたと気付く前に気を失いかけ、腹を蹴飛ばされ木箱に激突した際に同時に腕を折った。

そのおかげか気を失わずに済んだものの、どこから来たのか男の仲間らしい奴らが増えていた。


「おいっパトロンに渡す前に顔に傷つけんじゃねぇ」


どうやらどこぞの少年趣味の貴族にでも雇われているらしい。
貧民街ではそう珍しいものではないが、裏道とは言えこんな町中で狙われるとは思っておらず、油断していた。


ディオ「おっまぁえ」

「なんだ、まだ意識があったのか」

「さっさと薬嗅がせろ!」

「おい、その前に少しいたぶろうぜ」


先ほど仕留め損ねた男が俺をにらみつけると、仲間から奪った銃を構えた。
こいつらはここで俺を殺せない。人を殺すにも攫うにもこの町でもある程度はリスクがあるし、他に当てはまる人間をそう簡単に見つける保証もない。
ならば足か腕か、さっき狙った個所を見ればおそらく腕に威嚇射撃。
仮に足でも片足あれば俺を取り押さえる男の足をつぶし、もう一人を投げて・・・
ギリだが行けるか?いや、その前にこの男に撃たれる・・・。くそっ銃が厄介だ。
どうやら酒を飲んでいるのか、それとも薬か、おぼつかない腕を、更に一か八か逆上させて隙を狙うか。

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