俺をとらえている男達すら、いきなり現れたこの男にただ単に驚愕して動けなくなったのか、
それともその神がかった姿に魅了されているのか、時間が止まったかのように動けなくなり、俺をとらえている腕の力が弱まった。
隙をついて腕から逃げ出し二人の後頭部を蹴り倒し、再度現れた男へと視線を向けると、
驚いたように男もこちらを見ていた。
暗がりで全ては見えないけども、細い線をしているが男に間違いはないようだ。


でお「お前は・・・晃か?」

『e?ah、』


目線が揺らいでいるあたり、どうやら本人も戸惑っているようだった。
どういった仕組みかは知らないが、俺は晃が目の前で人間になったのを見ているし、この男は俺には危害を加える気配がないようだ。
困惑する時か、くつろいでいる時の晃がするように頭の上の耳が垂れさがっていた。
不思議とこの現象を思ったよりも冷静に受け止めており、思考を巡らせる事が出来た。
もし晃だとしても、猫の時のまま俺の家族でいるとも限らない為、
いざとなれば足で蹴りを入れられるように体制を整えつつ、探るように男にゆっくりと近づく。

この距離で目を凝らすと顔がはっきりと確認できた。
やはり見間違いではない、金色の首輪、オッドアイで綺麗な黒髪の・・・猫。


でお「っ・・・本当にお前か?人になる事ができるのか?」

『ahuっ・・・///』


困ったようなそれでも愛おしいまなざしを向ける美しい男は、少し考えた後自身の手のひらを不思議そうに見た。
揺れ動くしっぽと細かく動く頭の上の耳は本物だと言う事がわかる。
その傷一つない美しい体に、幼いながらもくぎ付けとなった。
銃で撃たれたはずのその胸には、女特有の膨らみはないものの、やわらかそうで妖しい色香を漂わせていたが、子供の俺にはそれがなんの衝動なのか深く理解する事は出来なかった。

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