実際でお君と話した時に最初に注意されたのは「でお」ではなく「ディオ」だということ。
でも僕、ディオって言い直してるのに聞いてる側ではまだ「でお」だそうで、


ディオ「なら、兄として俺を呼べばいい」

『兄?んーじゃあおにーちゃんだね!』

ディオ「・・・」

『おにーちゃんって呼ばれるの嫌?』

ディオ「ううん、おにーちゃんでいいよ」


ちょっとびっくりしたようだったが、嬉しそうに微笑んで頭を撫でてくれた。
猫でも人でもこのでお君、おにーちゃんの手は好きだ。
本当は僕の方がおにーちゃんなんだけどなーなんて思いながら、こんな可愛い子におにーちゃんと呼ばれたいとか、もう色々いけない気がしたので抑えておく。
そういえば俺って兄弟いなかったもんなー。本当は弟が欲しいけど兄弟が出来るだけでも嬉しい。

今日もおにーちゃんの一緒に靴磨きのお仕事に行く。
僕はこれと言って何もしないのだけど、幼い弟がいると、チップも多いし、扱いやすい客がつかまるそうだ。
買って貰った帽子に猫耳を隠せば、まっている間周りの猫にお金を集めてもらえるし、まぁ、邪魔になってないのならいいか。

今日もお父さんの為にせっせと働く姿は本当親孝行だと思う。
こう言うのもなんだが、おにーちゃんのお父上はなんというかマダオ(丸で駄目な男)だった。
本物のマダオさんに似ても似つかないマジマダオだった。
お母様の葬式の時も出ないし、黒猫は縁起が悪いが、僕がずっと猫の姿ででお君のそばに一緒にいてあげた時も一度も姿を見せなかった。
その後、病気になり、でお君がチェスで勝ったお金で買った薬を差し出すも、それよりもドレスを売って酒を買って来いと殴り飛ばす父親を、でお君は地獄に落としてやると僕に言っていた事もあった。
その時は僕が猫に頼んで早めにコインを集めたので売らずに済んだのだが、いつ勝手に売られるかわからないと、その服を僕のベットの中へと隠した。
ときおり金目のものを探すようだが、新入りの僕がそんなものを持っていると思わないようで、まだ見つからずにすんでいた。

正直、おにーちゃんが何故この父親にここまでするのかわからないけど、出来れば僕もいっぱしに稼げるようになって、別れさせたい。
ときおり見せる父親に向けるはずのない目を見せるも、やっぱり大事な家族なのかなぁとも思うとどうも切り出せないでいる。

今日も格安で薬をもらいに行くため、貧民街の奥に僕がいると危険だからと一人で行くおにーちゃんを見送り、
これまた可愛らしい飼い猫ちゃんからデートのお誘いを受けて、まじか、この姿でかと驚きながらもどう断ろうか考えていると、丁度いいタイミングでおにーちゃんと合流した。
猫ちゃんに曖昧に返事をして別れた後、嬉しそうに薬を見せるおにーちゃんと一緒に家に帰った。


ディオ「この薬は健康な人には毒だから、間違っても晃は飲むんじゃあないぞ?」

『うん、わかってるよ。おにーちゃん』


はやくお父さんの具合がよくなるといいね、という思いでおにーちゃんに笑いかけると、微笑み返してくれた。
その日、おにーちゃんに英語の勉強がてら猫耳なしで小説のお話しを読んでもらっていると、丁度主人公の女の子がメイクによって変身する場面で、おにーちゃんはお父さんに咳交じりに呼ばれた。



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