その後、馬車の中でも何度か注意点をおさらいする。
正体がばれないようにするためと、ばれた時のフォローについて、
たとえば動物と話せる事は勿論秘密。極力人前では話しかけない事。
ただし、犬や猫、小鳥など、実際には話しかける人間も多いため、その現場を見られても素知らぬ顔をする事。
動物たちにも説明し、協力してもらう事、
コインを持ってくる等、命令した動作をその動物が行ったところを見られた場合、他の人間と一緒になって驚く事。
そうすれば普通人間が動物と話すなんて思わないし、本人が遊びだと言えば頭のいかれた子供にも見えず、ほほえましい光景として映るだろうと言うことだった。


ディオ「きっと、一人一部屋与えられるだろうな。猫の晃も見納めか、少しさびしいな。でもたまには猫の晃も見たいな」

『それなら僕が夜におにーちゃんの部屋に遊びに行くよ!
それなら途中で見つかっても平気だし、部屋には入っちゃえばこっちのものでしょ?
ベットの中でなら猫になってもばれないし、いざとなれば戻って一緒に寝ればいいもんね!』

ディオ「それは嬉しいけど、それだと晃がずっと甘えん坊に見えてしまうな」

『それでもいいよ?実際に僕おにーちゃんに甘えたいもん』

ディオ「晃」

『あ、でも人間の僕が甘えるのは嫌だよね』


揺れる車内で僕を気遣って隣に座っているおにーちゃんの腕に抱きついたまま顔色をうかがう。
そうだよ、こんな僕を愛でてどうするんだよ。猫だからこそだろう!
もう猫としての生活が抜け切れていない自分にガーンとなっていると、おにーちゃんは優しく抱きしめてくれた。


ディオ「俺は晃がいてくれれば猫でも人間でも嬉しい」

『!!僕もおにーちゃんが一緒ならどこでも嬉しい!』

ディオ「晃、いつでもおいで、毎日だって構わない。なんなら一緒の部屋にしてもらえばいい」

『うん、そうだねおにーちゃん』


おにーちゃんはきっと新しい生活に不安になっている僕を気遣ってくれているのだろう。
なんとも優しい兄だ。ちょっと腹黒いなと思う事も無きにしも非ずだけど、そんな一面を僕に見せてくれるってことは少しは信用されているんだと思う。

もしジョジョのふし・・・奇妙な冒険の何部かもしれない世界や、他のファンタジーだったとしても、本当にただのタイムスリップだとしても、本当にただの夢だとしても、今までの生活はリアルそのものだし、これからだってそうだ。
町の生活は危険もあったがそれなりに楽しかったから、本当はそんなお貴族さまの元に行くのも不安がある。
ぶっちゃけ手紙しか知らんし、一人息子とやらに苛められたらどうしよう。
仲良くなれるかな―なんてノー天気というプラス思考になれるほど度胸座ってないぜ!!
そんな不安を振り払うようにおにーちゃんの胸に頭をグリグリすると、頭の上から聞こえる小さい笑い声と一緒に優しく撫でられる感覚に、自然と瞼が落ちていた。

気がつけば目的地に到着したみたいで、お馬さんの「つきましたよ、ぼっちゃん達っ」という言葉が聞こえ、おにーちゃんが体をゆすり起こしてくれた。

僕が目をこすると赤くなるからと手をつかまれ、おはようと笑えば同じくおはようと微笑み返してくれた。
あぁ、これから僕らの新しい生活が始まるんだ。

おにーちゃんの顔にちょっとだけこれからの生活にワクワクしてきたぞっ!




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