俺の真似をして飛び降りようとしている晃の脇に手を入れて抱き下ろすと、
また嬉しそうにお礼を言われた。これから殆ど被っていることになるだろう帽子を撫でる。


「君は、ディオ・ブランドーだね?」

ディオ 「そう言う君は、ジョナサン・ジョースター」


晃も警戒するように俺の服をつかみ後ろに隠れてしまった。
あぁ、俺もわかったよ晃、直感し、理解した。

こいつは――「受け継ぐ者」だ

体中の血が煮えくり、今にも爆発してしまいそうな感情に、しばらくは大人しく様子を見ていようと計画していた事も忘れて目の前のこの男をどうにかしてしまいそうになった。


『あぅ・・・晃・ぶらんどお 』


ぎこちない晃の声にハッとなる。いつの間にか俺にこいつを近づけさせないようにか、俺とこいつの間に立っている晃に視線を向ければ、我慢をしているのか、それでもすぐ顔をそらした。


ジョナサン 「みんなジョジョって呼んでるよ・・・。これからよろしく。」


そんな晃に気付きもせず、気易く笑顔で話しかけ握手を求めるこの手をどうしてやろうかと考えると、


「ワンワンワン」


犬の鳴き声にいち早く反応した晃は敵を見つけるためかその身を乗り出した。
以前猫の姿の時に、襲われている晃を棒でぶん殴って救出した事がある。
本人は遊んでいたと強がっているが、どう見てもあと少し遅れていれば町でよく見かける無残な猫の死体となっていただろう。
そう思うとゾッとすると共に犬と言う生物全てに憎悪しそうだ。

今も強張りながら一生懸命視線をそらさずに犬を見ている。


ジョナサン 「紹介するよ。ダニーってんだ!僕達の愛犬でね。心配ないよ!決して人は咬まないから」

『だにいちゃん・・・』

「ハッハッハッハッハッ。」


阿呆そうな犬が一目散にこちらに向かて走ってくると、
先ほどまで意気込んでいた晃が一歩後ろに下がった。


ディオ 「ふん!」


それでも敵前から逃げようとしない姿に、何故俺に助けを求めないのかと苛立ち、
礼儀正しい従順な好青年をこいつのまえでも演じるつもりでいたが、激情のままに、いっそ殺すくらいのつもりで犬を強く蹴とばした。
ボギャァアアという骨が気済む音と犬の悲鳴が聞こえ、少しだけ、ほんの少しだがスカッとした。

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