立食式のパーティはそこまで作法に厳しくないとは言いつつも、対人となればそうはいってられないし、何よりここは第一印象が物を言う事を知っている。
たとえジョースター卿自身にその気は無いにせよ、周りの人間は物色するような目を下手な笑顔で隠して近づいてくる。


「いやーディオ君は博識ですな」

ディオ「そんな事はありません。アーノルド様のブランドが有名なだけですよ。
僕もいつか、こんなセンスのいいスーツを着こなせる大人になりたいものです」


ジョースター家は大きな貿易会社だ、関係する貴族も企業も大きいものが多いため情報は簡単に集まったし、
盗品や偽物なども詳しいので、こういった類の話や流行りものについては何を言えば喜ぶのかまで把握済みだ。
お酒も入り、従順で取るに足りない子供だからこそ相手も油断している。


「はっはっはっ、君が大学に入る時には私からプレゼントしよう。
もちろん弟君もね?」

『プレゼント・・・ほんと?』

ディオ「こら晃、いつまでも僕の後ろからでは失礼だぞ」


とはいっても、俺の前には出させない。あの町に住んでいる時から晃には俺の前には出ないように、後ろに隠れるように言い聞かせてきた。
どうやら晃には通じない常識が多くあるようで、その方が何かと隠す事も出来るし此方もフォローがしやすい事を説明すれば、素直に従ってくれた。
困ったら合図として俺の後ろに隠れる。これが俺にとっては頼られている感覚と、相手が晃を羨ましそうに見る目に、凄く優越感に浸れるものだった。


「はっはっはっ気にしないでくれ、晃はどんなスーツがいいかな?」

『えっとね、 ぼく おじさまがくれるのなら なんでもいいのっ!』

「なんと!嬉しい事を言ってくれるね」

ディオ「(その汚い手で晃の頭を触るなっこの膏豚がっ)」


少し俺があしらえば将来性を感じコロっとおべっかを使ってくるし、最初は人見知りでうまく話せない晃も段々と会話が出来るようになり、
威嚇していた小動物を手懐けたが、すぐに手元を離れるような距離感に惑わされる品減が多かった。
当家の息子はいつの間にか席を離れ、そのフォローすら俺がやればジョースター卿からの俺の株も上がる。
そんな状態で晃の身の上話を少し悲しそうな顔で言えば同情票までもらえる始末だ。


「晃ちゃん?あちらで新しいデザートが用意されましてよ?」
「私たちと取りに行きませんか?」

『でざあと!いく!おしえてくれて ありがとう ござます!』

ディオ「(どうやら、人間の女性も雌猫同様の扱いみたいだがな)」

『おにーちゃん! おにーちゃんもいっしょきてっ!
いいよね?』

「もちろんですわっ///」
「私たちも、ディオさんとはお話ししたかったの///」

ディオ「光栄ですね、喜んで行くよ晃」


あまり晃に近づけさせるのも面倒だ。
俺が優しく微笑めば、先ほどの動物を愛でるような顔とは打って変わって、
男を見る目で僕へと視線を向ける女どもを軽くあしらう。
天然で誘惑し、無自覚に惑わせるからこそ威力もあり厄介だ。
まさかここまでとは思わなかったが、やはり必要以上に他人とかかわらせないように俺が守らなければならない。



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