少女
ゴシャ。ガダガダ。ガラガラ。
ジョナサン 「おっかしいなぁ!僕の時計がないぞ!」
あのときの怪我は目の下が切れていただけですんで、晃君の処置も早く、特に化膿することもなく僕の目は回復していった。
なのでその日の約束通り晃君と一緒に外で遊ぼうと再度約束し、先ほどから時計を探しているのだが、机の中身を引っ繰り返しながら探しても時計は見つからなかった。
ジョナサン「はっ!」
扉をあけられた先にはディオが僕の時計を手にして立っていた。
ディオ「少しの間、この時計貸してくれよな・・・。僕は時計を持ってないんでね。おっと!友達に会う時間に遅れる・・・」
僕の返事も聞かずにディオはさっさと出て行ってしまった。
ショ・・・ショックだッ!
か・・・彼は、僕の机の引き出しを、かってに開けて見ているッ。
僕は彼を部屋に入れた事は今まで一度だってない。そりゃあ、彼から訪ねてきたら勿論入れるが、こうして尋ねる事はほとんどないのだ。
もちろん、あの時計を過去に貸したことも渡したこともない。
それに、もう2度と、あの時計は戻らないような気がする。
壊れるまでッ!
『ジョナサン君?時計 みかった?』
ジョナサン「晃君・・・。えっと、それが見つからなくて」
くそっディオめ。惨めだ、どんどん侵略される気分だ。
だけど、この事を晃君が知ったらどう思うのだろう。彼は、ディオではなく僕の味方でいてくれるのだろうか。
ダニーを連れて屋敷を出る時、晃君は何時もよりつばの大きい、この屋敷に来る時に被っていた帽子をかぶって僕の後ろをついてきた。
屋敷から離れた河原に、僕のお気に入りの木をみつけて登ると、晃君が下から僕を見上げてきた。
ジョナサン「晃君も登りたいのかい?」
『・・・(コクン)』
少し考えてから晃君はうなずいたが、登っておいでと言っても、中々上手く登れないみたいで、苦戦している姿が可愛らしかった。
僕は一旦木から下りて、晃君の脇に手を差し込み抱き上げて、足のかけ方や枝の握り方等登り方を教えながら枝の上に登らせると、晃君は目を輝かせてお礼を言ってくれた。
思えば誰かにものを教えるなんてことした事が無かったし、こうやってお礼を言われるのも初めてかもしれない。
ジョナサン 「ヨ。」
『ジョナサン君 すご 初めて 登った』
ジョナサン「えへへ、そうかな。晃君は木のぼり始めてなんだね、楽しいかい?
落ちないように支えてあげるから気をつけるんだよ?」
『うん お外 出る も 初めて 楽しい!』
晃君が落ちないように支えて、バランスを取りながら後ろに座る。
そうか、晃君は初めてなのか、なんか兄弟として、弟に教えているみたいで僕もとても楽しかった。
木の上にも慣れて来てので、晃君を向かい合わせで座らせて、ダニーがどんな芸が出来るかを話した。