僕は今、とても恐ろしい想像をしているっ

図書室から出ると、ディオがお盆に乗ったコップ一杯の水と、袋に包まれた薬を父さんの部屋に運んでいる姿を、
その薬を他のものとすり替えているところを目撃した。

ディオは・・・ディオはっ


ジョナサン「ディオ、今・・・その薬どうした?」

ディオ「どうした、とは?」

ジョナサン「君はいつも、父さんに薬を運んでいたのかい?」

ディオ「あぁ、それが?」

ジョナサン「七年前、君のお父さんが出した手紙・・・。偶然見つけたよ・・・。読もう!
「・・・私は今・・・病にあります。多分死ぬでしょう。分かるのです。病名は分かりませんが、“心臓が痛み”“指が腫れ”“咳”が止まりません・・・私が死んだらどうか、息子のディオと晃を宜しくお願いします。二人は本当の兄弟で、私の息子とは思えないほど頭がよく、気がきく子で晃は捨て子と思えないほど覚えも早く愛らしい性格をしております。
かならず貴方様へご迷惑をかける事はしないでしょう。
僕の父さんと同じ症状だーッ!一体これはどういう事だッ!ディオーーーッ!!」


ディオは自分の本当の父親を殺害しているッ!思えば彼は、死んだ父について話す事を、いつも避けていた!!
そして今、彼は僕の父を殺そうとして、ジョースター家の財産を狙っているッ!
病死のように殺害する薬を使って!


ディオ「君は一体何が言いたい?」

ジョナサン「その薬、調べさせて貰う!」


ディオが話の途中で机の上に置いたお盆の薬へと手を伸ばすと、薬をつかんだ瞬間すぐさまディオにその手首をつかまれた。
力を入れ、その腕を振り払おうとするもピクリとも動かないのは、ディオも同じく僕を掴んでいるその手に最大限の力を込めているからだ。


ジョナサン「うう・・・・・・う」

ディオ「ジョジョ!その薬を調べるという事は、我々の友情を疑う事!友情を失うぞッ!」

ジョナサン「ううっ!」


ディオの目に威圧されて、目を伏せてしまった・・・。
あくまで疑惑に過ぎず、僕の心にも確信がまるでないからだ!


ディオ「ジョジョォ・・・その薬を盆の上に戻せよ・・・。
そしたら、君の馬鹿げた考えの事は忘れよう」


し・・・しかし、ディオの気持ちを試す方法が一つだけあるッ!
掴まれた手首をひねって自身の方に強く引けば、ディオの手から逃れる事が出来た。


ジョナサン「ディオ!紳士として、君の実の父、ブランドー氏の名誉にかけて誓ってくれッ!
自分の潔白をッ!自分の父親に誓えるなら、僕はこの薬を盆の上に戻し、二度とこの話はしない!」


もし、僕の恐ろしい推理通りなら、自分の父親を毒殺しているなら・・・。
彼の誇りに対する性格から、父親を殺すほど嫌っていたのならば、
その父親の名誉に“誓い”は出来ない筈だ!


ジョナサン「さぁ、誓ってくれ!」


この言葉は、ディオに対する脅迫ではなく、僕自身、僕自身の勘違いであってほしいとの願いからだった。

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