棺桶
『ンゥンーン、ンゥンンーンムゥ(ディオ兄さん、ディオ兄さんなの!?)』
聞きなれた声、安心する声、ちょっと気恥ずかしい声。
あぁ、夢なのだろうか、幻聴?いや、首だけでも生きていた!!
ディオ「晃・・・すまないがお前の血を少し貰うぞ。安心しろ、全てが終わったらまた私がお前に血を分けてやる」
『(ディオ兄さんだ!生きてた!!)』
え、拘束といてくださいよ!!なんで僕縛るのさッ!!ディオ兄さんの顔が見たいよ!!
誰かに運ばれている間、そう言われて、体を張っている管がグニャグニャと動いて首に何かがっ刺さって痛いっ。血を、吸われている!?
でもまたってなんだ・・・そんな記憶は・・・
[『(ディオ兄さんの貰ったモノの方が一気に回復したなぁ・・・何だったんだろう)』]
あの時口の中に残る血の味・・・、美味しいと感じた味・・・その記憶がよみがえった。
まさか・・・え、でも僕、太陽に当たっても消滅なんか・・・
[『(それにしてもずっと部屋の中だったからか日差しが目にしみるなぁ・・・)』]
[『(日差しも強いし、これだけつばが大きければ顔も影になってちょうどいいね!)』]
[『(まぁ、この時期の服なら体格も「肌」も隠れて丁度いいのかもしれないけどね・・・)』]
Σ思えばあの日からめっちゃ太陽アレルギーだったー!!??
え、じゃあ吸血鬼!?どこで!?いや、思い当たる節があるけどっ!え!?
でもでもでも別に波紋出来るし、血は・・・美味しいけどそこまで欲しくないし・・・。
『(・・・多少日差しが気になるとか女子高生ぐらいの悩みで済むなら問題ない!はず!)』
でも、ディオ兄さんがなんでこんな所に・・・?
そっか、きっとあの時釘を切った時、行くら吸血鬼でもとても痛かっただろうに、僕に復讐しに来でもおかしくないか・・・。
あれだけ優しくしてくれて、あれだけ愛してくれたのに、恩をあだで返すような真似をしてしまったのだから。
もっと僕が早く止めていれば、気付いていれば、もっと強かったら・・・。
ディオ兄さんの匂いが、顔のすぐ近くにある。
目も口も縛られて、ごめんねも言えなくて、手足が縛られて、抱きつく事も出来なくて。
今度こそ、こんどこそ、ジョナ兄さんと仲直りしてほしいな・・・