屋敷内の窓からジョジョを乗せた馬車が走り出すのを見送る。
薬の証拠をつかむのに三日とみた!三日の間に、ジョジョを何とか始末せねば!
それも完全犯罪で無くてはなッ!

ジョジョの部屋に忍び込み、鍵のかかったやつの机をナイフで無理やりこじ開けると、奴の研究対象である石の仮面と、それに関する研究ノートが出てきた。

研究ノートには血で動く仮面の特徴は勿論、様々な仮説と共に骨針が伸びる脳みその個所と機能まで書かれていた。この針は脳の奥深くまで達する。
古代、太陽の民、アステカ。十二世紀から十六世紀にかけ、メキシコ中央高原にあった王国。
その王国に伝わる奇跡。もっとも、彼らが作り出したものではなく、扱いきれずに滅んでしまった。

それ以上の事は記されていなかった。
当然だろう、この石仮面にどのような効果があるのかを確かめようと思えば人体実験を行うしかない。
しかし、ジョジョのような性格の人間に、人体実験など行えるはずがなかろう。
この研究は、ここで足踏みを繰り返していた。
どうやら、仮面の裏のアステカの文字からアプローチしていたようだが、芳しい効果は上がっていないようだ。
たしか、晃にそれとなく訪ねた時には作者の意図か何かで、
擦れて読めなかったと言っていたが、今の晃に手伝わせれば解読できるだろうか。
それでも具体的な使い方の説明でもなさそうなので、特に興味は持たない。

七年前!この石仮面は俺の血で作動した。
ジョジョはそれを自分だけが目撃したモノと思ってこの仮面に興味を持ったようだが・・・。
このディオもしっかり目撃していた。忘れるわけがない、晃の腕を傷つけた仮面。
私もジョジョも同じものを見ていた。
違うのは、ジョジョはその現象の理由を探るために考古学の道を志し、俺はあの仕掛けはいつか使えるかもしれないと思い、破壊したい気持を押さえ、胸に秘めたと言う事だ。

この骨針がジョジョの脳味噌に喰い込めば間違いなく即死ッ!
銃やナイフで奴を始末する事はできんッ。凶器は殺人の疑いがこのディオにかかってくるからだ。
しかし!この石仮面をかぶせ、ジョジョの奴を始末したとしたら・・・。
この仕掛けはジョジョだけが知っている研究であるし記録はこのノートに全て書かれている!
警察はジョジョの変死体を研究中の「事故死」とみて捜査は打ち切り!
殺人容疑は俺にはかかってこない!

ジョジョ!あのときは晃に助けてもらえただろうが今回は違う!
お前の研究でお前自身が死ぬんだ!


実を言えば、前段階で石仮面を使ったジョージ・ジョースターの殺害を思いついていた。
晃がいなくなって一か月が経とうとしたあの日。
就寝している彼に石仮面をかぶせ、血をかけて発動させる。
脳に骨針が、それも何本も刺されば、人は死ぬ。

当然石仮面を使って殺せば、真っ先に浮かび上がる容疑者は、石仮面を研究し、仕組みを知る唯一の人物であるジョジョ。
そして立件されれば、もちろん彼には財産継承権が無くなり、残された養子の俺が全てを受け継ぐ・・・いや、奪い取れる。

この案で行こうとほとんど決めていたのだが、晃が何時帰ってくるかわからない状況で、ジョジョと一緒に石仮面を見ていて、しかも行方不明だった養子が返ってきた瞬間、養父が殺害されたとあれば、疑いは晃に行ってしまう。
それに、当主である父を、息子のジョジョが殺した、しかも、凶器を使って計画的に殺したとなればジョースター卿の家名が地に落ちるのは火を見るよりも明らかだ。
貿易商としての仕事も、きっとなくなってしまうだろう。

財産だけが欲しいのではない、名誉や名声も欲しい。評判の悪い家名などを晃と引き継ぐつもりもない。

結果、経験のある方法が一番だと思い、毒殺に及んだのだが・・・。
ほとぼりが冷めたころに、ジョジョには遺跡で事故にでもあってもらおうと考えていたのだが・・・。

計画が変わってしまったが、まぁいい。殺す順番が変わっただけだ。

同じ家で、兄弟のように育ってきた、法律上でも実際に兄弟であるあの男を、殺す事にした。

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