ジョジョが薬の出どころを求めて、命知らずにも食屍鬼街に出向いている最中に、俺は夜の街、屋敷の近郊の港町を徘徊していた。


ディオ「(くそっジョジョのやつ、きっちりのたれ死んだのだろうな。まさか薬の証拠を!?)」


酒!飲まずにはいられない!あのクズのような父親と同じ事をしているっ!くそっ!
しかし、飲めば飲むほど気分は荒れる一方だった。
あのクズのような父親と同じように飲んだくれているこの姿を、晃が見たらどう思うのだろうか・・・。
自己嫌悪に溺れそうだった。


「気を付けろィ!どこ見て歩いてんだこのトンチキがァ!
「おい相棒!俺の上着にあのガキの小便のシミがついてねーか見てくれ!」

「ギャハハハッ!こらァ聞いてんのかァケツの青いガキがよォ」


そんな風に荒れている時、行く先から来た二人組に絡まれてしまった。
普段なら相手にもしない連中だし、そんな風に絡まれるのは幼少期を思い出せば慣れたものだったので、最初はスルーできそうだったのだが、男達がはなった言葉が、このディオを激昂させた。


「ケッ!ヨタヨタしやがって」
「外出の時はママに付き添いしてもらいな!」


ママ。母親・・・母。
その言葉に、気付けば俺は酒瓶でそいつの頭を殴りつけていた。


「ハヒ〜ドベベェ!」
「あああ、こ・・・この野郎ッ!よくもおれっちのダチコーを!
ブッ殺したるッ!このガキャァーッ!」

ディオ「ほおぉー衛生観念も無い虫けら同然のたかがじじいの浮浪者が、よくもこのディオにそんな無礼な口をきけたものだ・・・。
今ぶっ殺すと言ったな!おもしろいッ!
良い機会だ・・・ジョジョの前にまずここで試してやるッ!
人体実験だ!!」

一人に石仮面をかぶせ、押し行くと、蹲っているもう一人をナイフで切りつけて仮面にその血を浴びせた。
その瞬間、骨針は男の脳を貫き、目も眩むようなまばゆい光を放ったのだ。


ディオ「こ、この光はいったいっ」


光が収まると、仮面をかぶせた男が後ろに倒れる。
その男の頭を蹴り飛ばすも反応がないところを見れば、本当に死んでしまったようだ。


ディオ「幻覚か・・・。死んだか、(ペッ)面白くもないただの拷問殺人道具よ」


喧嘩の最中に脱げてしまった帽子を拾おうと背を向けたその時、背後から布がかすれるかすかな音と、近付く足音に悪寒が走った。
まさかと思い、後ろを振り向けば、すぐそこに迫る石仮面をかぶった男!


ディオ「死んでいない、なんだ一体こいつは、牙!」


掴みかかってきた男の仮面が落ち、大きく開かれた口からは鋭利な牙が見えた!
とっさにその口から避け、もう人二に刺さっていたナイフを抜き取ると、
襲いかかってきた男の腕につきたてる。
が、そのナイフで手のひらが割れ、そのまま手首に到達しても俺に手を伸ばす事をやめない男に恐怖を感じ、その腕から真横によける。


ディオ「ううッ!」


その男の腕が背後の壁に当たると、一気にひびが入り崩れ落ちる。
おれは、その腕が掠っただけにもかかわらず、川の柵まで体を吹っ飛ばされた。


ディオ「うげぇッ!(な、なんだこのパワーはッ!?)
あ、あぁっ(ま・・・まだ来るっ!あいつ・・・腕の痛みは感じないのか!?
くっ(かすっただけなのに、鎖骨を砕かれているッ。くぅっ川にっ飛びりるのだっ)
ぐあっう・・・うあああああっ!!」

「か・・・渇く、なんか知らねぇがよぉ、渇いて渇いてしょうがねぇんだ」

ディオ「血・・・が吸い取られるゥ!」


川に逃げようとしたが、男がすぐそこまで迫っており、老人とは思えない強靭な力で俺の首をつかんだ。
男が俺の首に指を突き入れると、そこから一気に血が吸い取られていく感覚がわかった。
そして、その血が無くなっていくと同時に、目の前の男の顔がみるみる若返り、今まで老いぼれじじいが20代の青年へと変貌していた。
抵抗しようも、体が・・・うまく・・・動かない。
それでもなお、絞り取ろうとするかのように吸血行為をやめない男に、俺は生命の危機を感じ恐怖し、拒絶した。
しかし、その男の腕は離れることはなく、俺は擦れていく視界と意識を自覚した。


ディオ「(石仮面の秘密がわかってきたッ!しかし!)
ぎゃああああっ!ちぐしょうーッ!!」


思えば、いつも俺は晃を守ってきた。父からも貧民街の輩からも、貴族や、学校の生徒・・・
だが、こうした命の危機には逆に、いつも・・・


意識を失いかけた瞬間、目の前の男の頭部が、何者かに蹴り飛ばされた。
蹴りは凄まじい威力だったのか、男の頭部を消し去るほどに破壊し、残された体は、だらりと掴んでいた腕がたれ、後ろに倒れ込んだ。
俺は呼吸を整えながら、いきなり現れた奴が誰なのかと視線を向けると、朝日が昇ってくる。
逆光で見えないはずなのに、回転を加えた蹴りの反動の体制を整え、俺に手を指し伸ばすそいつが、俺はすぐに誰だかわかった・・・。


『大丈夫ですか!?すぐに手当てをっ!兄さん!?』


昇る朝陽が照らし出したのは、心地よい音を発したその声は、
俺の待ち望んでいた人物だった。



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