急いで、動物に病院の方向を聞くと、隠す用の帽子も無いので気力で猫耳を引っ込めて、のそのそと(めっちゃ急いでるけどこれが限界です)一番近い病院に向かう。
ドアを激しくたたいて大声で呼ぶと、早朝にもかかわらず、出てきてくれたお医者様は兄さんを見るなりすぐに診察をしてくれた。
無自覚ではあるがあの時僕の口から波紋が流れたのか、随分回復していたので、命に別条は無いとのことだった。

念のため腕を固定してもらい、ベッドの上で寝ている兄さんの顔をのぞく。
まだ貧血ぎみなのか顔色がよくなかったので、近くにイスを持ってきて首元に手を当てて波紋を流し続けると、だいぶ血色が戻ってきた。


『(さっきのは・・・///)』


まだ感触の残る唇に指をあてると、先程の光景と昔の同じような光景とがフラッシュバックして一気に顔に熱が集まったので、その幻想を消し去るように激しく頭を左右に振る。
そりゃ、小さいころから二人きりの時は挨拶のキスは頬ではなく口にされたけどっ。
それすらも恥ずかしいのに、しっししっしししし舌をっ///

お、おおおお酒もかなり入っていたみたいだし!?
貧血気味だから思考能力も落ちてたんだし!?
あんな状況できっと気が動転してたってところだろう!!
それに僕が帰ってきてたから、色々混乱してたんだろう!!(自分が混乱中)

む、昔のは若気の至りだきっと!!でも昔より気持ちい・・・じゃない!!///(混乱中)


ディオ「ん・・・」

『兄さん!まだ起きちゃ』

ディオ「いや、大丈夫だ・・・」

『・・・///』


夕方頃、目を覚ました兄さんがだるそうに起き上がるのをそっと支える。
必然的に近くなる距離に、じっと顔を見られるとやはり熱が集まってしまうのはいたしかたないと思う。


ディオ「(フッ)」

『?・・・ど、どうかした?///』


久しぶりに見た兄さんの優しい笑み。
本当に久しぶりだ。屋敷にいた頃ですら、二人っきりの時にたまにしか見せない笑みだ。


ディオ「よかった、晃・・・本当に生きていたんだな」

『う、うん。ごめんね?救助船じゃなくて鮫に乗って助かったんだけど、連絡取れる方法が無くて』


ディオ「鮫?そういえば、会話が出来るのは種族ではなく知能だったな。
そうか・・・」

『うん、あまりしっかりは話せないけどある程度・・・は・・・』


嬉しそうにずっと僕の目を見つめてくる兄さんに、居た堪れない気持ちになって目をそらすと、顎にそっと手を添えられ優しく兄さんの方に向かされる。


『うっ///』

ディオ「何故目をそらす?」

『だ、だって・・・なんか恥ずかしいし///』

ディオ「フッ、恥ずかしい原因は、これかな?」


そう言うと、兄さんの顔が僕の目の前に来て、唇に柔らかいものが当たり、チュッとリップ音をたてて、その後唇を舐めて兄さんの顔が僕の真正面から少しだけ離れた。


『・・・』

ディオ「・・・?」

『Σ!!///(ビクッ)』

ディオ「!ふはははっ」


え、いま、また、え?だって、さっきのあれは、混乱してたからじゃ!?
あれ?じゃあ、今は?まだ混乱してる!?///
再度頭が処理落ちしそうになっていると、笑っている兄さんに優しく頭を撫でられる。


『な、なん///』

ディオ「「なんで」か?愛しているんだ、当たり前だろう?」

『あ、あい?///』

ディオ「愛してる・・・晃。ずっとお前が帰ってくると、生きていると信じていた」


あああああ、愛している!そうか!
兄弟だものな!僕も、ディオ兄さんもジョナ兄さんもお父さんも愛しているよ!
なるほど!ちょっと過剰だが兄さんなりの愛情表現か!
さすがイケメンはやる事が違いおる!!///(混乱中)


ディオ「だが、さすがに一年は堪えたぞ・・・。
この一年間何をしていたのかは後でベッドでじっくり聞くとしよう。
今はとにかく一旦屋敷に戻ろう。この街にはいない方がいい」

『ごめん兄さん。屋敷でちゃんと話すよ
(なんでベッド?まぁ、昔もよくそこに座って二人でお話しとかしてたなー。懐かしいなー)
ちょっとお医者様を呼んでくるね』


僕は兄さんのそばから離れ、お医者様を呼びに行くと、最後に一度診察するそうなので、僕は久しぶりに出会って協力してくれたにゃん子友達に再度お礼を言いに行くため、先に病院の外に出ている事にした。

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