ジョースター家に戻ってきた俺たちを待っていたのは、食屍鬼街から無事に帰ってきたジョナサン・ジョースターだった。

ジョジョが晃を抱きしめる姿に腹が立ち、俺のものだっ!触るな!とその弛みきった顔面を殴りそうになるのを耐えた。
今ここで無駄に争ってはいけない。こちらは深手を負っている。
相手は確実に仕留めねばならない。
ジョジョは晃に気を使ったのか、晃を奴の父親の元へ行かせ、晃が部屋を出て扉を閉めた後に、俺へ振り返り本題に入った。


ジョナサン「残念だよ・・・ディオ。分かってもらえないかもしれないけど・・・これは本心だ」


本当に気が重そうに、いっそ悲しそうに、いわゆる「優しい」言葉を。
対決しようと思っていた相手からそんな言葉をかけられたという事実が、俺をどれほど傷つけ、どれほど抉っているのかっ!
悲しそうな目が、同情するような目がどれほど俺を踏みにじっているのかっ!

だが、そんなジョジョからの侮辱に耐え、そこに付け込んで隙を窺うべく、潔い振りをして次々と嘘を並べ立て、涙を流す。
が、急に現れた男のせいで、今にも策略に嵌まりそうだったジョジョの体が止まる。


SW「「誰だ?」って聞きたそうな顔してたんで自己紹介させてもらうがよ、俺ぁおせっかい焼きのスピードワゴン!!
ロンドンの貧民街からジョースタさんが心配なんでくっついてきた!
ジョースターさん、甘ちゃんのあんたが好きなんで一つ教えてやるぜ。
俺ぁ産まれてからずっと暗黒街で生き、色んな悪党を見てきた。
だから悪い人間と良い人間の区別はニオイでわかる!
こいつはくせぇー!ゲロ以下のにおいがプンプンするぜぇー!!

こんな悪には出会ったことがねぇほどなぁー!!!環境で悪人になっただと?
違うね!コイツは生まれついての悪だ!!早えとこ警察に突き出しちまいな!!!」


なんとも正しいお言葉だ。ゲロ以下とは言ってくれたものだが。
場所は違えど、流石は同じどん底育ち。自分でもそう思う。よくこのディオを理解している。

しかし、いつの間に来たのか、晃はそんな彼を扉からずっと見つめていた。
・・・生まれついての悪だったとしても、呪われし魂だったとしても、生まれた環境、育った環境が悪くなかったと言う事にはならないのだと。

そう彼の目は言ってくれているような気がした。


晃だけが、本当に理解してくれている気がした。



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