波紋
僕もだいぶ回復して、元の年齢と、猫耳なしの姿に戻れるようになった。
あの惨事を知るのは僕ら兄弟とワゴンさん、そしてお父さんだけ。
警察も事故と納得してくれた。
お父さんは、無事一命は取り留めたものの、足が不自由になって車椅子生活になってしまった。
今エリナさんの病院にお世話になって療養中だ。僕らの姿を見た時は、涙を流して喜んでくれた。
お見舞いに行きつつ、波紋治療を試みているが、父さんは元気になるとすぐ仕事に行こうとするので執事の人達が大変そうだ。
あ、波紋治療を行っているのは僕の先生には内緒です。体力が回復してなくて姿が安定していないので、他人の治療にエネルギーを使わないように言われているので。
ジョナ兄さんは石仮面の事が気になって屋敷を掘りかえすと言ったので、僕もお手伝いで来た。
『(それにしてもずっと部屋の中だったからか日差しが目にしみるなぁ・・・)』
ジョナサン「すごいな、動物たちが本当に言う事を聞いている」
『んーお願いするとほとんどの事はやってくれるね、皆いい子だから』
せっかくジョナ兄さんに能力を理解してもらえたので、さっそく動物たちに手伝って貰う。
正直な所この後エリナちゃんに僕を紹介(猫の事は内緒で)してくれるということなので、早く終わらせたいんだよねー。
『(どんなに掘っても表れないところをみると・・・)
屋敷が崩れるのと同時に他のものと同じように粉みじんになったみたいだね』
ジョナサン「そう思おう!そしてはやく忘れよう・・・」
『(あれ?これは・・・)』
足元の瓦礫から何か光ったものを手に取ると、ディオ兄さんがよく持っていた金の懐中時計だった。
灰まみれで汚く、針も止まってはいるが、もしかしたらまだ使えるかもしれない。
遺品が何もないのだから、これは僕がもらってもいいだろうか。
一度ジョナ兄さんに許可をもらおうかとも思ったが、ちょうどエリナちゃんが来たようだ。
今、ディオ兄さんの事を思い出させるのはやめようと思い、懐中時計をそっとポケットに忍ばせる。
エリナ「ジョジョ?」
ジョナサン「エリナ!早かったね、こんなところまで迎えに来てくれたのかい?」
エリナ「えぇ、貴方の弟、晃さんに早くお会いしたくて・・・。
貴女は?」
『こんにちはエリナ嬢(この姿では)初めましてですね。僕は晃・ジョースター』
エリナ「では貴女が?ごめんなさい、弟さんと聞き間違えていたのかしら」
『・・・え?』
エリナ「え?」
ジョナサン「ははは、可愛い顔をしているけど、弟で間違いないよ」
エリナ「ま、まぁっ重ね重ね無礼をっ!とても綺麗な顔をしていたのでてっきり・・・」
『???よく解らないけど、エリナちゃん、綺麗になったね』
エリナ「??」
『あ、えっと、エリナさんの方が綺麗だよ!!』
エリナ「まぁ///お上手ね?」
『ハハハ』
エリナ「うふふふ」
笑った顔は昔みたいに、少女のように可愛らしかった。
どうやら中身も変わっていない、優しい女の子のようだ。
・・・僕のお姉さんになるのも、待ち遠しいなぁ。