波紋
ジョースター邸の裏の、幼いころ僕らがよく遊んだ河原へと移動する。
懐かしい。周りのレンガは崩れているけど、川の流れは変わらないままだ。
ツェペリ「わたしの目的は後で話すとして、君の体に何が起こったのか説明しよう。
「呼吸」がおこすエネルギーを見せてあげよう。このツェペリが長年研究した肉体操作法だ。東洋人は「仙道」と呼んでいる」
『(前に聞いた事があるような・・・なんせ一年前に一回聞いたきりだから)』
ジョナサン「な・・・何をする気だろう!?」
ツェペリさんは川の中に入ると、呼吸によって不自然な形の波紋が水面へと現れる。
ジョナサン「な、なんだあの波紋はッ!?あんな形不自然だッ!あんな形の波紋は!」
ツェペリ「私は君の横隔膜を指で突き、君の呼吸を調節したッ!!
今の私と同じように「特別」な呼吸法にしたのだ!!
簡単に説明すれば「呼吸」には血液が関わっている!
「血液」は「酸素」を肺から運ぶからだ!そして「血液」中の「酸素」は「体細胞」に関わっている!「体細胞」イコール「肉体」!!
つまり!水に波紋を起こすように呼吸法によって「肉体」に波紋を起こし・・・エネルギーを作り出すッ!今から見せるのは、君の痛みを消したエネルギーと同じもの!」
そういって、男爵は波紋を込めて蛙を拳で打ったが、波紋は蛙を伝わり、その下の岩を砕いた。
ジョナサン「蛙は何ともない!!」
ツェペリ「これが「仙道」だ。波紋エネルギーこそ仙道パワー、私の波紋エネルギーは蛙の肉体を波紋となって伝わり岩を砕いたのだ。
ジョジョ、私は知っている!あの石仮面は壊れていない、石仮面の男ディオが持っている!」
ジョナサン「なんだって!?ディ・・・ディオが生きていると言ったのか・・・!!」
『ディオ兄さんが・・・生きてる・・・』
まさかと思っていたあの仮面はツェペリさんが探している石仮面だったんだ・・・。
それを兄さんがかぶってしまった。
気を失っていたからよく解らないけど、あの焼け跡の中から生きているとなれば、兄さんはもう・・・人間ではない・・・。
『(ん?でも昔の記憶もあったみたいで、それなりに理性もあったみたいだし、それって血を吸うってだけで僕とあんまり変わんなくない?
死なない程度に輸血してもらえるようにするとか、僕のでよかったらいくらでも死なない程度なら吸って貰っても)』
ツェペリ「私は何十年も探している、石仮面を破壊するために!石仮面をかぶったものを倒すために!」
『(ツェペリさんに聞いた話では吸血鬼やゾンビは理性も人格も崩れ去ると言っていた。でも兄さんは僕を腕の中で抱きしめていただけだ・・・)』
ツェペリ「君たちはすでに石仮面と戦う運命にある!仙道を学ばなければならんさもないと死ぬ!君もこの全人類もッ!!」
エリナ「ジョジョ・・・なんのこと?あの人はいったい!?」
ジョナサン「エ、エリナ・・・晃・・・。
すまない、晃、エリナを連れて先に戻っていてくれないか」
エリナ「え?」
『うん、エリナさん、先に行こう?(どちらにせよ彼女を巻き込むわけにはいかない)
ツェペリさん、ジョナ兄さん、後で』
ツェペリ「ほっほ、心配するでない。
晃、ついでに君の空白の一年間についても私から彼に話しておこう。
君も・・・よく考えてきなさい」
戦う覚悟?いや、そんなもの貧弱な僕にはない。
僕はただ、またディオ兄さんとジョナ兄さんと、
一緒に暮らしたいだけなんだ。
ただそれだけの為なのだから
ちょっと・・・頑張る事にする。
たとえそれが、まだ蝶の羽ばたき程度の結果しかだせないとしても。