この一週間、僕はこのツェペリという底知れぬ人物に波紋エネルギーと言うものを習い、共にディオを倒す決意をした。
そして、晃を、この戦いには関わらせない事を巻き込まない事を
・・・一人、僕自身に誓った。


ツェペリ「石仮面の力によるスピードとパワーには人間がどんなに努力しても太刀打ちできん!
だったらそれに代わるものを身につけなければ奴らには勝てないのだ。
ジョジョォ!教えた呼吸のリズムを狂わすなよォ!
見ろ!君の骨折を殆ど治した波紋エネルギーは精神の乱れに凄く敏感なのだよッ!
誰でも本能でやる呼吸だが、リズムを持続するかしないか!そこがパワーの分かれ目だ!」

ジョナサン「はい!」


何故僕が彼と共に、ディオと戦う決意をしたのか。それは、彼に凄まじい過去があるから・・・。
そう・・・僕と共通点のある過去が・・・。


ツェペリ「ジョジョ、私が仮面を追っているわけを話そう
このツェペリ、ウィル・A・ツェペリは若かった。私は未知のたんきゅうにかぎりない興味を持つ若者であった。学者であった父の遺跡発掘隊に参加した私は、世界中を旅してまわった。そして、アステカ遺跡へ発掘に行った時の事・・・」

ジョナサン「まさか!」

ツェペリ「そう、事もあろうか!あの石仮面は私が偶然発掘したものなのだよ・・・。
その帰国途中で隊の中の一人が何かのきっかけで仮面をかぶり発現させた!
血に飢えたそいつは友人の首をバックリ断ち切り、腕を、足を、体を引きちぎりまくった。
船内58名!皆殺しだった!私は海に飛び込んだが、そいつは追って来た!
その時、夜が明けた。朝日の光で初めて見えたそいつの顔は発掘隊の隊長・・・私の父だった。
石仮面を積んだままの船は、何処かに流されて行った。私は恐れた・・・あの船が発見され、いつかどこかで石仮面の力が再び発現するだろうと。
そのための対抗手段を考えておかねばなるまいと。そして波紋法にたどりついたのだ。
波紋エネルギーは自分の血液から生み出すもの、対して石仮面は脳から未知なるパワーと邪悪な心を引き出すが、他人の血液からエネルギーを吸い取る。形は表と裏同じエネルギーだったのだ!」


水辺に石を投げ込み、波紋が生まれ、その近くにもう一つの石を投げ新しい波紋を作ると、新しい波紋が前の波紋を打ち消した。
その様子を見て、僕は直感的に石仮面の力を封じる方法がわかった。


ジョナサン「そうか、波紋を消すにはもう一つの波紋を!」

ツェペリ「そうだッ!もう一つの大きな波紋エネルギーをぶつければ奴らは砕け散るッ!
そして波紋法の作るエネルギーの波は!あの!太陽の光の波と同じ形なのだ!
だが、晃君の波紋の形はまたこれとは違う。淡い光のようでもあり、どちらでもない力。
ゾンビならば破壊は出来るだろうが、果たしてあの力が吸血鬼に効くのか・・・」


彼は、僕と同じだった。僕と同じ、「家族」が吸血鬼になってしまった・・・その責任と悲しさと孤独が、僕らを引き合わせたようでもあった。

ジョナサン「ツェペリさん教えてください、波紋の使い方を!!
どんな苦しみにも耐えます、どんな試練も克服します!
晃には、この戦いには関わらせたくはないのです!」

ツェペリ「嫌だと言っても無理やり教えるわ!世界の帝王になるために、ディオはまずジョジョ、君を狙うはずだ」

ジョナサン「僕を・・・いえ、その前にきっと晃を狙ってくるでしょう」

ツェペリ「晃君を?先程も言ったが、彼の力は回復の面を除けば脅威ではないはずだが」

ジョナサン「敵として、消すべき相手として狙うのではないのです。
彼は・・・晃はおそらく貴方には言っていないのでしょう・・・。
僕らは義理とは言え兄弟なのです」

ツェペリ「なんと!猫の耳を見てから、彼の生い立ちは聞かない方がいいと思っていたが・・・。と言う事は、彼はディオの弟・・・」

ジョナサン「はい。僕と出会うより先に彼はディオに救われ、幼少のころから一緒に生活をしていました。
僕らの家に来た時からずっと見てきたからわかる・・・晃はディオの事も僕の事も兄弟として家族としてとても愛してくれていますが、
ディオの感情はそれ以上だ!彼の目の中でどす黒く燃えるように熱い何かが潜んでいたっ!
あの夜確信したっ!きっとディオは第一に晃を仲間に引き入れようとするでしょう!」


きっと、もうディオには晃の制止の声すらも届かないだろう・・・。
彼にとって晃の居ない一年とは、彼の中で虚像を作りあげるほどにっそれほど苦痛だったのだろう。
もしあの時、晃が石仮面から逃れられていなかったら、どうなっていたのだろう。
もし、晃が敵になったら、僕は戦えるのだろうか・・・。

晃を、自分の手で葬る事が出来るのだろうか・・・。

弟を・・・兄弟を

ディオを・・・自分の手で・・・。


ツェペリ「もう時間が無いぞジョジョ!!ディオは動き出す!晃を巻き込みたくないというのならそれでもよかろう。
彼には回復能力があるが吸血鬼化の危険と敵の懐での戦闘の不利を考えれば、エリナ嬢の近くにいてもらった方が二人とも安全かも知れない・・・」

ジョナサン「!」


本当は晃が一緒にくればその分僕らの傷も回復できるし、ゾンビとの戦闘も有利になる事を知っている。
ツェペリさんも気付いている。だけど、僕の頭を撫でている手にはそんな僕の我儘を受け入れてくれる父のような温かさがあった。

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