ウインドナイツの町にジョジョがやってきたのは、ジョジョに負わされた俺の火傷がおおむね回復した頃だった。
そして、まだ俺は晃に関する有力な情報を、目撃情報の欠片すら手に入れる事は出来ていなかった。
何も情報が手に入らない中ただ無暗に町に行かせるだけでは無駄なので、黒髪の美しい娘を一人ずつ連れてもどるように命令してはその女を餌にし、またはゾンビにしてこの焦りを紛らわせていた。

そして、この町についたジョジョを、町の少年に催眠術をかけおびきだし、我が下僕を配置した墓地に来させた。
どうやら、あの切り裂きジャックを倒して来たらしいが、となるとあのジジイがジョジョと晃に波紋とやらを教えた張本人か・・・。
晃の波紋は、どうやらあの行方不明の一年の間で身につけたものらしいが、
ならばあの時、この俺に波紋を流し込めば倒せていたものを・・・。
それをしなかったのは空腹だったからか、兄弟の愛ゆえか・・・。
おそらく後者だろう、きっと満腹でピンピンしていたとしても晃は俺に波紋を流して俺を殺すことなどできなかった・・・いや、考えもしなかったはずだ。

しかし、聞くところによると晃は波紋の才能はあるが修行を全くしていないそうだ。
倒す修行の武術、波紋を練る修行の呼吸法。
晃は才能があるにもかかわらず、丸でそれらの才能を捨てるかのように何もしない。
俺が小さい時から感じていた晃の違和感はそこにあった。
波紋の才能だけではなく、昔から他者からの信頼や羨望も、まるで与えてきた本人の目の前で捨てているかのように自分自身に向いている事に気付かない。
俺のためにとせっかく集めた金や物も、本人に返しても不必要だとまた俺に跳ね返す。

晃ならば奪うことも与えることもできるだろうに、誰から受け継いだのでもないモノを、他の者が簡単に手に入れる事が出来ないモノを簡単に捨てる。
「捨てる」と言えば聞こえが悪いかもしれないが、俺はきっとそこに、晃に惹かれる要因の一つがあるのかもしれない。


ディオ「 陽は落ちた・・・貴様の命も没する時だ!!」


俺が見降ろしたジョジョ御一行に、待ち望んでいた晃の姿は見当たらなかった。
町に行かせたゾンビたちも発見できていなかったのだから、黒猫の姿かと思いきやその黒猫すらも見当たらない。


SW「俺はこの瞬間に対する心の準備はしてきたッ!だがやはりドス黒い気分になるぜ!
汗が噴き出す!あの野郎があんなにいい気になってピンピンと生きてる事によッ!
ジョースター卿の愛を、血染めの裏切りで返した男!あいつ・・・あいつだけは!!」

ジョナサン「ディオッ!」

ツェペリ「奴がディオか・・・。なるほど狡猾な奴よ。奴やゾンビは太陽のもとでは行動出来ない・・・。
だから人間の子どもに催眠術をかけ我々を自分の戦い時と場所におびき出したか?
こんな狡猾な奴があの仮面をかぶったとはッ!
なんとしてもあの男を消滅させねばならん!」

ディオ「晃は、連れてはこなかったようだな。町にも見かけない所を見れば、何処かに隠したのか」

ジョナサン「あぁ。晃をこの戦いに巻き込みたくはない。
・・・それは君も同じだろうディオ」

ディオ「ふん。まぁいい晃がいないのならちょうどいい!」


癪だがジョジョと同意見だ。晃は、悔しいがジョジョを気に入っている。
きっと、できれば昔のように仲良く過ごしてほしいとでも今でも思っているだろう。
だが、だからこそっ!
晃が俺だけをっ
俺の事だけを考えて生きていけるようにッジョジョを消さなければならない!
その思考を全て俺に向けてくれたのならばっそれは俺にとっては世界のすべてを手にする事と同意!!

この俺と共に、永遠の時を晃と共にっ!


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