SW「タルカスのやつ、あの高さから石壁へ直撃かッ!」


どうやら、僕らは全員無事で、追って来た男はここの石壁に直撃したらしい。
いくらゾンビでもバラバラになればここまで追っては来れないと思いたい!


『あ、ありがとうジョナ兄さん。でも僕も多少は戦えるから、ジョナ兄さんは自分の身を
ジョナサン「晃!何故ここに来た!!
どれほど危険かっ君が一番わかっているだろうっ!」

『Σ!!』

SW「ジョ、ジョースターさん・・・」


ジョナ兄さんに怒られたのは、初めてだ。
こんな怖い表情で、大声を出したことすら・・・。
注意される事はあったけど、こんなにも感情をあらわにして怒鳴られた事は一度だってない。
そう思うと、謝ればいいのか泣けばいいのか怖がればいいのか良く解らない感情に無意識に涙があふれ出て来て、頑張ってこらえて視界がぼやける。
何か言おうとしても喉から声が出ない。謝罪?反論?いや、ちがう・・・
何も言えないままの僕にジョナ兄さんの手が頭へ伸ばされた時、叩かれるんじゃないかと思って、目に溜まった涙が流れるとわかっていても反射的に目をつぶってしまった。


ジョナサン「これから僕らがする事、起こる事、予想は付いているだろう。
この先、僕らについてきたら、君の辛いことしか待ち構えていないんだ・・・」

『っ・・・僕はっ、傷を治すことしかできないけどッそれでもジョナ兄さんの役に立ちたい!』


頭の上には、大きくて暖かい手が置かれていた。
下がっていた猫の耳ごと覆うその大きな手で、優しく頭を撫でてくれて、いつものように優しい、だけど辛そうな声でジョナ兄さんは僕にそう言った。

僕は・・・二人の戦いを止めたいんだ。おそらくだけど・・・これから起こる事の予想が、少なくとも喧嘩ではすまないことが。

吸血鬼がどんな存在かも。

でも、ディオ兄さんは多くの人を殺したかもしれないけど、それでも僕にとってはそんな人よりディオ兄さんの方が大事だ。

「酷い」と言われるかもしれないが、見ず知らずの人より、僕は目の前の大事な人間を選ぶ。

同じように、ジョナ兄さんに襲いかかる敵も、僕が排除してあげたいッ。
たしかに、僕にはその力がない。だからせめて、今ジョナ兄さんが危険だというなら傍にいたい、親しい人が誰も傷ついて死んでしまわないようにっ!
兄さんの罪を少しでも軽くできるように行きたいっ。
兄さんの回復だけでもいいからっ傍にいたい。


ツェペリ「晃、ジョジョは何も君を戦力外だと思って置いてきたわけではないよ?
むしろ君の力はとても心強いが、それでも彼は、君をこの戦いに巻き込みたくはなかったんだ」

SW「そうだぜ晃さん・・・。今からでも遅くねェ、ディオに見つからないうちに早く戻るんだ」

ジョナサン「晃・・・ポコを連れて戻るんだ」

『嫌だ!そんな子供より僕はジョナ兄さんをっ!!』

SW「晃さんっ、おめぇなんてことをッ」
ジョナサン「待って、スピードワゴン。
晃・・・。本当はそうは思っていないのだろう?
君は、さっきも会ったばかりの少年を、無意識に自分より先に避難させようとした。
いつもそうだった。君は「他人は救わない」というが、少しでも自分と関係を持ってしまったら君は赤の他人を他人とは思えなくなっている。
家族は勿論、屋敷の執事たちも、学校の子供も、僕らの友達も、生まれ育った町の人も、会って数秒の子供にさえその心を開き、受け入れる。
僕はその晃の優しさをずっと、一番近くで見てきた。だからわかる。
わかるからこそ、この先に戦いは、君は僕以上に苦しむことになるのが目に見えている!」

SW「晃さん・・・」


どうしよう、正直言いかえせない。
もちろん、ポコ君とジョナ兄さんどちらか一人と言われたら、この状況ならジョナ兄さんを選ぶだろうが、きっと僕はポコ君が救えなかった事を一生覚えて悔むだろう。
正直、この村の身も知らぬ娘がディオ兄さんに殺されようが、悲しみはしないが、できるならそれを止めたい。
もしそれがエリナちゃんだったと思うだけで胸が張りさけてしまいそうになるから。

赤の他人を他人と思えない?

だって、友達はもう他人じゃないじゃないか。
執事の人だって、家政婦さんだって、獣医の先生も師匠もポコ君も、もう他人じゃないじゃないか。
それは、そう思ってしまう僕がおかしいのか?大切な人だと、守らねばいけないと思うことがおかしいのか?
そう感じてしまう僕には、ジョナ兄さんの言葉になにも反論できない。


考えたくない、考えないようにしていた。




ディオ兄さんと


ジョナ兄さん


どちらか一人を


選ばなければいけないなんて。




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