米国
街に出て少し歩くと、後ろから黒人の青年が一人、そして前にを警官が二人、歩いてきていた。
晃に何かしてきたらとっ捕まえてやろうと思っていた所、晃がある路上販売の前で足を止めた。
なんだこれ、見たことないものが瓶に入って、どうやらコーラと言う飲み物らしい。
俺はコレはなんだと聞くと同時に、晃には見えない様にさっと財布を取り出す。
目を輝かせながら説明を聞く晃に気づかれない様に瓶を二本、ケースから取り出しておく。
ジョセフ「晃、こんな真黒なもん飲みたいのか?」
『うん!これね、意外と美味しいんだよ?ジョセ兄さんも気にいると思う!』
ジョセフ「前に飲んだことあるのか?ふーん、じゃあおっさんコレ二つ」
『あ、僕が出すよ!』
晃がカバンを開ける頃にはおっさんにお金を渡せる用意は整っていた。
しかし、手もとの金とは別に誰かが俺の元に走ってきていて、とりやすいように軽くはじっこを持っていた財布をまんまと青年が盗って走り去って行った。
OKOK、ひ弱そうな晃に手を出さなかったことは褒めてやろう。
だが、俺の財布なんかはどうでもいいんだが、隣の晃は取り返しに行く気満々らしい。
「へい!イギリスのにーちゃん。わしゃ知らねーよ盗られたのはあんたの財布だァ!
いるんなら追っかけなよ!」
『・・・。ジョセ兄さ
ジョセフ「まぁ別に俺も金はいいんだが、晃がそう思ってくれんならちょっくら行ってくるわ!
おっと、晃はここで待ってな!すぐ取り返してもらってくっからよ!」
自分のならよかったのにという考えと、お金より俺のものを取り返さないとと思ってくれることは嬉しいが、晃に危険な目には合ってほしくない。
財布をとったやつより、前にいる路地裏へと入った警官二人が特にな・・・。
俺は晃の肩を優しくたたいてコーラとやらを持って男を追いかけた。
味はわからねぇが、液体は波紋をよく通すからな。
「ヒーッ」
ジョセフ「!」
「がぼっがぼっ」
裏路地に入る道を曲がってすぐのところで、青年が太ったほうの警官に捕まって警棒で後頭部を殴られていた。
こりゃあ、予想通り、あぶねぇのはこいつらの方だ。
「このゴミクズ野郎がァ!てめーをこの罪だけで20年は出れねーようにしてやるぜ!」
「ゆ、許して〜おいら・・・財布をとっただけだァーッ」
「トンチキがァ!!俺はてめーらがでー嫌いなんだ。
だがな、俺はいい奴なんだ。これから毎週20ドルずつ俺の所に持ってこい。
それから盗んだものの半分もだ!そしたらブタ箱行きだけは見逃してやるぜーッ。
おい、そこの財布盗られたマヌケ!お前はもうどっかへ消えな!
それからこの財布は証拠として俺が預かっとくぜ」
ジョセフ「あの、なんていうかあのですね。
そのサイフは、わたしが彼に「あげたものですよ、おまわりさん」」
俺は、汚れないように晃とおそろいの形の帽子をとり、頭を掻きながら警官に言う。
ジョセフ「だから、その・・・サイフも彼も離してもらわんと困る・・・」
さて、ここから相手がどう出るか、「はいそうですか」と、返してくれりゃあ一番楽だが、きっとそううまくはいかねぇんだろうな。
したかねぇ、ドレスで一生懸命走って来る晃が来る前に警官二人を波紋で大人しくさせておかねば。