13ぺーじ。
「グルッペンに頼まれてん。 そろそろシノも此処に慣れてきたやろうから他のメンバーに会わせたれって。 やっと犬っころ共に問い詰められる日々も終わるわ!」
ケラケラと笑うゾムのパーカーの裾を掴んで離そうとしないシノに、エーミールは思わず苦笑。随分とまあ懐かれているのだなと羨ましい気持ちはあったが、其れを言えばただの犯罪者になりかねないのでぐっと抑え込んだ。
ゾムはそんなエーミールの心情など知った事では無く、何食わぬ表情でシノを軽々と担ぎ上げた。幾ら男ばかりで女子供に縁が無いとは言っても、もう14にもなる少女を抱っこというのは些か可笑しな話だが、シノ自身は何とも思っていないようなのでエーミールは何も言わずに放置した。
「んじゃ、今日はもう城戻るわ。 エミさん晩飯いるん?」
「え、あぁ。 お願いします」
「かしこまー」
そう言ってゾムはシノと一度目を合わせ、次には猛スピードで走り去っていった。
其の様子を、ただ手を振って見送ったエーミールは少しばかり落胆。
あぁ、日々の楽しみの一つが奪い去られてしまった。
エーミールはそんな事を思いながら、すっかり冷めてしまった珈琲を喉に流し込んだ。
一方ゾムとシノはと言えば。
ゾムが猛スピードで駆け抜けていくにも関わらず、相変わらずの無表情を貫き通すシノ。ゾムはそんなシノを見てムッ、とした表情になる。
彼は悪戯好きの好青年。シノに対する悪戯心だったが敢え無く失敗。シノの様子に一人小さく落胆していた。
せっかく笑ったり怒ったり、表情コロコロ変わったら可愛いと思うのに。
ゾムはそう思いながらも城内で待つ彼等のためにも足を速めた。
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