25ぺーじ。


ひとらんが腕に兎を抱えて小屋から出れば、小屋の前で待っていたシノは目を輝かせた。

ひとらんはそんなシノの様子に、マスクの下で薄っすら笑う。
そして彼女に腕を組むように言えば、シノは言った通り腕を組んで首を傾げる。

そんなシノの腕の中にひとらんは、抱えていた兎を乗せた。

兎は鼻と耳をピクピクと動かせながらも大人しくシノの腕の中に居る。


「……ふわふわ、かわいい」


ひとらんはそう言ったシノの、ちょっとした変化に気が付いた。

ほんの少しだけ、頬が緩んでいる。
その様子を見て、後でグルッペンたちに報告しなければ、と思った。
シノは兎を大切そうに抱えて頬を摺り寄せたり、しゃがみこんで膝の上に兎を乗せて撫でてみたりと彼女は意外にも好奇心旺盛。

お気に召したようで良かった、とひとらんは嬉しそうにしているシノの頭を撫でた。


「さて、そろそろ中に戻ろう? マンちゃんに髪の毛してもらわなきゃ」


「うん、わかった」


シノは聞き分け良く、兎を腕の中に戻してひとらんに差し出した。
ひとらんは兎を受け取って、先に城内に戻るよう促し、兎を小屋に戻す。
戻し終えて自身も城内へ戻ろうとしたが、小屋の前には未だシノが居た。


「…どうしたの? 戻らないの?」


「らんらん、待ってた。 いっしょ、行く」


「……そっか、うん。 ありがと」


ひとらんは再びシノの頭を撫でた。
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