5ぺーじ。
彼女はメイドに連れられて廊下を歩いていた。
最早あの男達の言う通りにしなければならないという義務感など頭からすり落ちていて、兎に角今は自身の眠気に素直に応えたい気持ちでいっぱいだった。
然しそんな想いも束の間、廊下を歩いているとふと、香しい匂いが彼女の鼻腔をかすめた。
其の匂いに飛び起きた少女にメイドはクスクスと笑う。
彼女はメイドの仕草に心底訳が分からないと言った表情だった。
メイドに手を引かれて歩けば歩くほど、惹かれる匂いはより一層濃くなっていく。
そしてとうとうメイドがとある一室の前で立ち止まった。
メイドは扉をノックして二、三言話した後に扉を開けて、少女の背を軽く押した。
少女の目に飛び込んだのは、見た事もないほど広い部屋。煌びやかな装飾に香しい食材の匂い。そして、自身と同じ金髪碧眼の、彼。
「さぁ、俺を殺そうとした罰は重いゾ? 何たって此れから君は地獄の食害に逢うのだからな!」
少女に対して、金髪の彼が言い放った。
少女は其の言葉の意味を理解は出来なかったが、不快感は微塵もなかった。
金髪の彼は扉に一番近い椅子を引いて、少女に座れと命令した。
少女は其の言葉の意味くらいは理解できた。大人しく要求された通り、引かれた椅子に座った。少女は少々身長が低い為に足が地面に着かなかった。座ったまま、何も言われずただ金髪の彼が斜め前に座ったのを、ぷらぷらと足を動かしながらぼーっと見つめた。
すると其の視線に気付いたのか金髪の彼は此方を向いて、小さく笑った。
少女は其の笑みの意味が分からず首を傾げた。
金髪の彼は、そんな少女の仕草に対して納得していた。
彼女は自身を殺しに来たアサシンだ。ゾムが気付かなければ俺は確実に背後を取られていたほど、彼女の気配は全く感じなかった。とんだ脅威がやって来たものだと流そうとしたのだが、ゾムが言った子供、という単語に引っかかった。
そう、俺を殺そうとしたアサシンは子供で女。こんな奴が俺の事を、と思うと面白くて。
あぁ、手に入れたい!
俺はコイツを手に入れたい!!
そう思ってしまえばあとは速い。
直属のメイドに彼女を預けて、俺は情報管理室へ出向く。其処には部屋の主であるロボロと、珍しい事に鬱大先生が居た。俺は早急に、アサシンの子についてを調べるよう要求。ものの数分で情報は得られた。流石は我が軍、否世界一の情報管理人だ。
さて、アサシンは一体どれ程俺を燻るのか。
- 5 -prev | next
[Bookmark]
[list]
[top]