8ぺーじ。


涙を流しながらサンドウィッチを頬張るシノに、グルッペンとゾムは動揺した。

何せ争いばかりを愛する男である故に女、増して子供の心情など彼らには理解し難いものだったのだ。
それでも彼女は未だに涙を流す。けれど先ずはゾムが気付いた。そして間隔を空けずグルッペンも。彼女は悲しくて泣いているのではない。其れはきっと嬉しさで生まれた涙であって、所謂ポジティブな感情から流れたものだと。
其の理由は簡単で、彼女の経歴を把握していたグルッペンに関しては深く納得できるものだった。

暫く。
ゾムによる食害を軽々と回避するかの如く、シノは机に並べられた料理達を其の小さな体の中にどんどん収めていった。

彼女は決して大食いというわけではない。然しやはり何日間もまともな食事が出来ていないとなれば、其の分を蓄えようと体はそれらを吸い込んでいく。
其の様子にゾムは心底満足したように笑う。
シノはそんなゾムの笑みを見て、不思議に思ったが差し出された茶色の飲み物に直ぐ目がいった。


「もしかして、何か分からん? 此れはなぁ、アプリコットティーって言ってな、あのこっわい顔したパツキンもよう飲んでんねんで!」


「其の紹介地味に傷つくゾ」


ゾムが指差したのは金髪の男。
シノはそちらを向いてじっと彼を見つめた後、手に持っているアプリコットティーと見比べ始めた。そしてシノはゆっくりと、アプリコットティーに口をつける。

キラキラと輝きだした目に、グルッペンは頬が緩んだ。

最初こそコイツはただ戦力になると思っただけであったのに、
今は良く分からない感情で一杯だ。此の少女の何気ない変化を先ほどから観察しているが、其の度に頬が緩んで仕方がない。
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