九話
──「エミさんはな、むっちゃ頭いいねん! 3年では学年トップで、グルッペンがいつも悔しがってるんよく見るんやけど、そんな堅苦しいやつちゃうし根は俺らと大差ないから緊張せんでええと思うで!」
「そ、そうですか……」
前方を歩くゾムさんに私たちはついていく。
図書室整理という私たちにとって初の依頼に一緒に行くと名乗りをあげたのはゾムさんだった。それから後方では何だか仲良さげに鬱さんと話すショッピくんとチーノの声。何か気が合ったのだろうか、随分打ち解けている。
なので私はゾムさんと話していたわけだが、ゾムさんはなんだが楽し気にしているので私は気になって尋ねてみる。何をそんなに楽しそうなのか、と。
「ああ、いやな。俺の後に入ったやつっておらんかったからさ、なんか嬉しくて…… た、体験でも部員は部員やん!? ショッピくんもチーノもおもろいやつやし、もし夏休みだけやとしても、仲良くできたらええなぁって!」
「……ふふ」
「何笑ってんの??」
「すみません、ゾムさんって見かけによらず良い人なんだなぁって……はっ、ごめんなさい! すごい失礼な事言っちゃって!!」
慌ててそう訂正すると、ゾムさんは立ち止まってぽかんと口を開け固まってしまった。そして少しだけ時間があってから、顔を真っ赤にしてフードを深くかぶってしまう。
「あ、ゾムさん照れてる〜。何言うたん? 紗絵ちゃん」
「え、いや……良い人なんですね、って……」
「ははぁーん? ゾムさん、見た目厳ついから僕ら以外の生徒に距離取られてるもんなぁ。なかなか褒められる機会もないもん、なぁ??」
「う、うっさいぞ大先生!! は、はよエミさんとこ行くで!!」
勢いよく正面を向いて早足で行ってしまうゾムさんをみんなで追いかけて、辿り着いたのは図書室の前。いつもは閉め切られた図書室の扉が今日は全開で、そこからみんなで中を覗いてみる。
カウンターの上に平積みされた本たちがたくさん。そしてそこにさらに本を積んでいく制服姿が一人。
グル先輩以上に色素の薄い髪色に、同じく色素の薄い瞳。雰囲気は柔らかく、真面目そうな人。
きっと彼がエーミール先輩だ。
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