八話
そんな新たな面々も集まった中で昨日いたメンツが見当たらないことを疑問に思っていると、グル先輩は言う。実は昨日の面々は結構レア度が高かったんだぞ、と。
「シャオロンは野球部だから滅多に顔を出さないし、ひとらんも剣道部のエースだしな」
「そうなんです? 聞いたことないけど…… じゃあ今度新聞部の方で取材行くって伝えといてください!」
「自分で言ってこい」
「えぇグル先輩ったらケチ!」
「お前昨日の今日で馴染みすぎやろ……」
ショッピくんの言葉に同意してうんうん頷いた。
チーノはフレンドリーなところがいいけれど、先輩に対してもこれじゃ、いつ誰の琴線に触れるかたまったもんじゃない。
私とショッピくんがそんなチーノに苦笑いを零していると、何やら思いついたようにグル先輩が立ち上がる。ああ、そうだ!と。
「今日はな、依頼があったんだ。えーっと……」
「図書室の本棚があまりにもぐちゃぐちゃやから整理手伝ってくれやと。これエミさんちゃうか?」
「あいつ部員なんやから普通に頼んだらええのに、わざわざ依頼箱に入れやんでも」
「えみ、さん?」
「ああ、うちの部員だ。図書委員をしてる3年のエーミール。彼を紹介したらうちの部員コンプリートだな!」
「あと俺もな」
ふと、背後でそんな声がした。ぬるい風が背を撫でていく感覚にゾワゾワして鳥肌を立てる。ショッピくんたちと振り返ってみると、そこには紫色のストールを軽く首元に巻いた男性が立っていた。制服を着ていないので、もしや先生だろうか。立ち上がり一礼すると彼はにこやかに笑った。
「兄さん!」
「新入部員入ったんなら俺に一言入れろや。昨日オスマンが声かけてきたからこうやって出向いてるけど、そうでもなかったら俺知らんまんまやったぞ?」
「一応まだ体験やし…… 正式入部なら入部届出しにどうせ行くから俺もわざわざ言わんかったんや。すまんな」
「しっかり者のトントンが報告忘れは変やと思ったら、なんや体験か。そうか」
「俺はここの顧問……というか、お目付役やな。兄さんって言うねん。よろしくな」
「……あの、お見かけしませんけど、何年生担当の?」
「ああ、俺3年しか持ってへんねん。しかも選択数学やし」
なるほど。道理で見かけない先生だと思った。
まあ私もさして職員室でお世話になっているタイプの生徒じゃないので先生に詳しくはないけれど。
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