十話


「お、エーミール。えらいごちゃごちゃしとるやん」

「わっ、っと…… 大先生! ゾムさんも! ……後ろの方々は?」

「体験入部中やねん。紗絵、あいつがエーミール。エミさんって呼ばれとる」

「あ、明石紗絵です」

「ショッピっす」

「チーノでーす!」

「体験入部……! あ、私は3年のエーミールです。図書委員もしてます。よろしくお願いしますね!」


ふんわりと、花が咲いたみたいに笑うエーミール先輩にどこかほんわかした気持ちになっていると、ふと誰かに背中を押された。それはゾムさんらしく、さ、手伝い始めよか、と言って図書室内に足を踏み入れた。

図書室にはなかなか来ないが、ここの独特の空気感は好きだ。静かで、少し暗くて涼しい気持ちになる。
そんな図書室でなにやら汗水垂らしながらせっせと動いているエーミール先輩に何をすればいいのかと尋ねると、カウンターの本を指さした。


「では、カウンターの上に積んである本をジャンル別に分けてほしいです。ジャンルは棚に書いてあるように、大きい括りでまず歴史とか、文学、芸術……みたいな!」

「わかりました。でも、棚から本を下ろすの大変じゃないですか? そっちもお手伝いしますよ?」

「ああいいんですいいんです! それはゾムさんにお手伝いしてもらうので!」

「俺ジャンル別とか言われてもよーわからんしな。あ、ショッピくんもこっち手伝ってーな!」

「ああ、いいっすよ。丁度俺もそっちがええなぁと思ってたんで」


エーミール先輩、ゾムさん、そしてショッピくんは棚から本を出していく作業。残った私、鬱さん、チーノは本の仕分け作業だ。

まず平積みされた本を上から取っていってある程度のジャンルにわけ、またその上に同じジャンルのものを平積みしていく。こういう単純作業はわりと好きだ。それに面白そうな本だって見つかるかもしれない。
……美術に関する本も、少しは見た方がいいのだろうか。感覚派とも理屈派とも言えないような私だが、読んで参考になるだろうか。
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