十二話


「そんなつもりなかったのにぃ……」

「まあまあ。褒められたことに変わりはないんですし、そこは胸を張るといいですよ!」


図書室での本の整理が終わり社会部へと戻る道中でエーミール先輩、基エミさんに励まされながら未だにきちんと前を向けないでいた。
鬱さんも鬱さんで、あんな風に人を褒めて恥ずかしくないのだろうか。初対面時にナンパをしてきたような人だし、ああいう褒め言葉には慣れているのだろうか……

とにもかくにも、絵に対して真っ直ぐなんだね、なんて言われて恥ずかしくないわけない。


─もし本当に、絵に対して純粋な好きという気持ちだけで向き合えたなら、今こんなにも絵の事で悩んだりしてないのだ。

最初に課題を出されたとき、輝くものなんてアバウトな題材、すぐにでも描けるわ!と意気込んでいたのに、それがどうだ。夏休み前に構想を練り終えてすぐにでも描き終えてやると思ってたのに、構想のこの字も描けてない。

輝くもの……夏の青空、スポーツに励む生徒たち、物であれば宝石だって輝いてるし、そんなものいくらでも存在するのに、どれも納得できなかった。私の中の輝くものが何かわからないくせに、どれもこれも納得できない。描けないのだ。


それにしても、グル先輩はどうして私がスランプに陥っていることを見抜いたのだろう。


「不思議な人だ……」
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