十三話


「グルッペンさんのことでしょう?」

「え?」

「図星でした?」

「……ええ、まぁ。どうしてわかったんですか?」

「私も最初そう思いましたから」


隣を歩くエミさんがクスクスと笑いながらそう言った。それに首を傾げているとエミさんは続けて話す。


「彼、元々は美術部だったんです。紗絵さんみたいに絵を描いてたんですよ」

「え、そうなんですか!?」

「ええ、はい。……けど、やめちゃったんです。なんだか味気ないからって。それなりの評価は頂いていた人だったんで、顧問もそんな理由で納得できない!って一時期すごい揉めたんですけど、そしたらあの人こう言うんですよ」


俺は俺の描きたいものを描きたい。その為にはもっともっと楽しいことや嬉しいことを経験する必要がある。ここじゃそれが得られないから俺は美術部をやめて、もっと面白い奴らとやっていくんだ!

グル先輩の言葉を傍で聞いていたエミさんも、それに少なからず感化された一人だ、と言った。


「そうして作られたのが、社会部。社会同好会? もちろん正式な部活じゃないですけど、あの人はそういう建前とか気にしない人なので。グルッペンさんの旧友だったトントンさんや、仲の良かったオスマンさん、それに私も。最初は仲がいい人たちで集まってわちゃわちゃするだけのグループって感じでしたけど、今やあれです」


少しだけ眉を下げてそう言うエミさんに、そうだったんだ、と零した。


「描きたいものを描く……楽しいことや嬉しいことの経験……」

「グルッペンさんも、なかなか的を得たことを言うでしょう?」

「……ですね。なんだか、社会部での活動、もっともっとやってみたくなりました!」

「グルッペンさんに言ってあげてください。あの人、飛んで喜びますよ」


二人でくすくす笑っていると、前方から呼びかける声が聞こえ顔をあげた。

遅いですよ二人とも、と手を上げながら言うのはチーノだ。今行きます、と言ってエミさんが駆け足になったのに、私は急いで歩幅を揃えてついていった。


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