十五話
「一人で線香花火? 物悲しい雰囲気だけど」
「ああ、先輩。線香花火って、落とさんよう集中するやないですか。そういうの好きで」
「またマニアックな…… って、普通の手持ち花火のストック、どんだけ持ってきてんの!?」
「これはコネシマさんがくれたんすよ。あの人すっげーお人好しで」
「そうなんだ。まだあんまり話してないけど、わんこみたいな人だよね」
「チワワっすねあれは」
煽るような笑みが上手いのがショッピくんだ。チワワっすねと言いながらクスクス笑う顔のなんと悪いこと。
そんなショッピくんの隣に並んで腰掛け、ショッピくん用に置いていた手持ち花火を一本手に取った。
「ショッピくん、それ落ちたらこっち火ちょうだい?」
「うす。多分もう落ち……」
「落ちたね……」
「結構保ちましたよ。自己ベスト更新」
「私絶対すぐ落としちゃうや。あ、ありがと」
ショッピくんは火の落ちた線香花火をバケツに放り込み、私の手持ち花火にライターで火をつけた。
パッと華やかになった周囲に私とショッピくんはどちらからともなく顔を見合わせ笑い合った。
「ちょちょちょ、なぁに2人で良い感じになってんすか! 俺も入る!」
「チーノ! もー、すごい窮屈になったし!」
「お前先輩らと騒いどったやんけ」
「やっぱ俺らマブやん? え、せやろ先輩ぃ……!」
「急に不安になって聞いてくんのやめて! マブよ、マブ!」
そういうと満足げに笑ったチーノ。そしてふと思い立ったように立ち上がり、私たちの手を引いた。私は燃え尽きた花火をバケツに放り込んで立たされるがまま前に躍り出る。隣に立ったショッピくんも同じようで、急になんやねんと気だるそうに聞いた。
「写真撮ろう!」
「お、おぉ! いいじゃん!」
「先輩らと混ざって、花火してる写真! これ新聞部に持ってったんねん!」
「お、おぉ!? それは色々言われるんじゃない!?」
「まあまあ、社会部の宣伝って事でいいんじゃないすか? チーノが怒られんのも面白そうやし、どっちにしたって旨みやん」
「おいこらショッピィ!!」
チーノとショッピくんがぽこぽこ殴り合いをしている最中で消えてしまった花火をまたバケツへと放り投げた。
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